2012/10/15

産業・貿易

欧州議会の経済金融問題委、市場操作への刑事罰適用を支持

この記事の要約

欧州議会の経済金融問題委員会は9日、インサイダー取引や相場操縦などの不当行為について、EU共通の刑事罰を設けて処罰することなどを柱とする欧州委員会の規制強化案を承認した。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作問題 […]

欧州議会の経済金融問題委員会は9日、インサイダー取引や相場操縦などの不当行為について、EU共通の刑事罰を設けて処罰することなどを柱とする欧州委員会の規制強化案を承認した。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作問題などで失われた金融市場への信頼を回復し、投資家保護を強化することが狙い。

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経済金融問題委のマッカーシー議員は、市場操縦の処罰に関する法律が未整備だったためにLIBORの不正操作に関わったトレーダーたちを訴追できなかったことは「大きな落ち度だった」と指摘。「LIBORのスキャンダルは、金融セクターの風土は変わっておらず、自己規制に期待することはできないということを証明した」と語り、EU共通の罰則規定を導入することの重要性を強調した。

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EUでは現在、インサイダー情報を利用して取引をしたり、虚偽のあるいは紛らわしい情報の拡散により市場を操作する行為に対する罰則規定は加盟国によってばらつきがある。インサイダー取引の最高刑はエストニアでは30日だが、イタリアとスロバキアでは12年。市場操作の場合は、エストニアの30日からスロバキアの15年となっている。経済金融問題委は、投資家がこうした法制度の違いを利用して制裁を回避することを不可能にするため、悪質なインサイダー行為や相場操縦に対しては5年、比較的悪質度の低い不正行為には2年以上の刑を科すことを求めている。なお、相場操縦の処罰の対象には、LIBORや欧州銀行間取引金利(EURIBOR)のほか、民間企業が算出する株価指数や、金や原油などの商品指数なども含まれる。

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法案は来年1月に予定されている欧州議会の本会議で採決にかけられる。経済金融問題委員会では2014年1月までの法案施行を目指している。

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