2012/10/15

産業・貿易

欧州委がEU経済「再工業化」構想を発表、製造業のGDP比率20%に

この記事の要約

欧州委員会は10日、EUが持続可能な成長を維持して雇用の拡大を図るため、製造業への投資を拡大してEU経済の「再工業化」を進める方針を打ち出した。域内総生産(GDP)に占める製造業の割合を現在の15.6%から2020年まで […]

欧州委員会は10日、EUが持続可能な成長を維持して雇用の拡大を図るため、製造業への投資を拡大してEU経済の「再工業化」を進める方針を打ち出した。域内総生産(GDP)に占める製造業の割合を現在の15.6%から2020年までに20%以上に引き上げるとの目標を掲げ、環境技術やバイオ産業などEUが優位性を持つ分野への重点投資を推進して国際競争力を強化することなどを優先的行動に挙げている。

\

欧州委のタヤーニ副委員長(産業・起業促進担当)は会見で「長年にわたり金融とサービス分野だけを重視してきたことは誤りだった。これ以上産業の空洞化を放置するわけにはいかない。官民が一体となってイノベーションに必要な投資を促し、製造業を活性化してEU経済が自信を取り戻すことが持続可能な未来に向けたカギを握る」と強調した。

\

欧州委はEU経済の再工業化に向けて取り組むべき優先課題として◇環境負荷の少ない生産技術、バイオ関連産業、持続可能な建築と建設材料、低公害車、スマートグリッドなど有望分野への重点投資◇域内市場の機能強化◇イノベーションに必要な資金へのアクセス拡充などを提示。投資面の数値目標を設定してこれらの課題の進捗状況をチェックする方針を打ち出した。

\

具体的には15年までにGDPに占める製造業の割合を金融危機発生前の水準(07年は21.25%)に戻し、20年までに平均23%以上に引き上げる一方、設備投資額を対GDP比で現在の6-7%から20年までに9%以上に拡大する目標を掲げている。このほか、域内市場における貿易額がGDPに占める割合を現在の21%から20年までに25%に引き上げることや、デジタルアジェンダの一環として、15年までに電子商取引を展開する中小企業の割合を全体の33%まで引き上げるなどの目標を設定している。

\