2012/10/22

総合 –EUウオッチャー

スコットランド、独立問う住民投票実施へ

この記事の要約

英国のキャメロン首相とスコットランド自治政府のサモンド首相は15日、エジンバラで会談し、スコットランド独立の是非を問う住民投票を2014年に実施することで合意した。投票の結果によっては300年以上におよぶイングランドとス […]

英国のキャメロン首相とスコットランド自治政府のサモンド首相は15日、エジンバラで会談し、スコットランド独立の是非を問う住民投票を2014年に実施することで合意した。投票の結果によっては300年以上におよぶイングランドとスコットランドの連合は解消され、英国が分裂する可能性がある。

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スコットランドはイングランドと1603年に同君連合を形成、1707年にスコットランド合併法によりグレートブリテン王国となり、議会はロンドンに一本化された。その後、自治意識が高まり、1999年に独自議会と自治政府が発足した。昨年に実施された議会選挙では独立を党是に掲げるスコットランド民族党(SNP)が大勝。SNPは独立を求めて住民投票を実施する方針を打ち出し、連合王国崩壊への懸念から住民投票に消極的な英政府と対立していたが、事態打開に向けた協議を続けた結果、◇住民投票では独立に「賛成」か「反対」かを選ぶ二者択一の投票方式を採用する◇投票を16歳以上の男女に認める――ことなどで合意に至った。投票の具体的な日程は未定だが、サモンド首相は14年10月の実施を目指している。

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スコットランドでは北海の豊富な石油資源からの収入によって経済的な自立は可能だとの見方がある一方で、独立には慎重な声が根強い。先ごろ行われた英調査機関TNS-BMRBの世論調査では、独立を支持すると答えた人は28%にとどまった。サモンド首相は会談後の記者会見で、「適切なチャンスが与えられれば、同胞の大多数を(独立が)正しい選択であると納得させることができる」と強調。「経済と社会の両面で、より良い未来のための明るいビジョンを示すことで勝利できると信じている」と強気の姿勢を見せた。

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スコットランドで独立を問う住民投票の開催が決まったことは、このところ欧州各国で勢いを増している分離独立の動きを反映したものと言える。ベルギーでは14日に行われた統一地方選で、北部オランダ語圏フラマン地域の分離独立を主張する新フランドル同盟(N-VA)が大躍進。来月に州議会選挙を控えたスペインのカタルーニャ州では、独立派がどの程度勢力を拡大できるかが注目されている。

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