2012/10/29

総合 –EUウオッチャー

欧州委員辞任は“強要”、ダッリ氏がバローゾ委員長に反旗

この記事の要約

汚職疑惑で欧州委員会の保健・消費者保護担当委員を辞任したジョン・ダッリ氏は24日、疑惑を改めて否定すると同時に、バローゾ欧州委員長から辞任を強要されたとして、同委員長を訴える意向を表明した。ダッリ氏は自発的に辞任を申し出 […]

汚職疑惑で欧州委員会の保健・消費者保護担当委員を辞任したジョン・ダッリ氏は24日、疑惑を改めて否定すると同時に、バローゾ欧州委員長から辞任を強要されたとして、同委員長を訴える意向を表明した。ダッリ氏は自発的に辞任を申し出たと伝えられていたが、予想外の展開となってきた。

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マルタ出身のダッリ氏をめぐって浮上している疑惑は、知人であるマルタ人の実業家がスウェーデンのたばこ会社に同氏との関係を利用して接触し、EUではスウェーデン以外で禁止されている嗅ぎタバコの解禁を同氏に働きかける見返りに金銭を要求したという内容。欧州不正対策局(OLAF)が15日にまとめた調査報告書では、たばこ会社は要求に応じず、ダッリ氏が同問題に関与した証拠もないとされたが、同氏が実業家の動きを知っていたにも関わらず欧州委に報告しなかったと指摘。これを受けて欧州委は16日、同氏が自身と欧州委の「名誉を守るため」辞任を申し出たと発表していた。

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ダッリ氏は記者会見で、同問題に「直接、間接にも」関与していないとした上で、バローゾ委員長が報告書を精査しないまま辞任を強制したと主張。そのやり方は不当で、正式な手続きを踏んでいないとして、法的手続きに訴える意向を示した。

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これに対して欧州委の報道官は同日の記者会見で、ダッリ氏は口頭で辞意をバローゾ委員長に伝えており、辞任手続きは完全に合法だと反論している。

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