2012/11/12

産業・貿易

仏が200億ユーロの企業減税発表、VAT増税など財源に

この記事の要約

フランス政府は6日、景気停滞で不振に陥っている国内産業を支援するため、年間200億ユーロの企業減税を実施すると発表した。これにより企業の競争力を高め、収益を拡大させることで雇用悪化に歯止めをかけたい考えだ。\ 減税策は企 […]

フランス政府は6日、景気停滞で不振に陥っている国内産業を支援するため、年間200億ユーロの企業減税を実施すると発表した。これにより企業の競争力を高め、収益を拡大させることで雇用悪化に歯止めをかけたい考えだ。

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減税策は企業の競争力強化に向けた政策の一環としてまとめたもの。2013年から給与税を控除する形で実施する。控除額は2013年が100億ユーロ。14年、15年に50億ユーロずつ増やして最終的に年200億ユーロとし、16年以降も恒久的に同規模の控除を認める。

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減税の財源は、歳出削減と付加価値税(VAT)の増税、環境税の導入で賄う。VATについては、2014年1月から標準税率を現行の19.6%から20%に引き上げる。レストランなどを対象とする軽減税率も7%から10%に上げる。食品など生活必需品の税率は、低所得層に配慮して5.5%から5%に引き下げる。環境税は16年に導入する。

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フランス経済はユーロ圏の信用不安などの影響で停滞し、2011年10-12月期から3期連続でゼロ成長となっている。今年7-9月期にはマイナス成長に落ち込むことが予想される。こうした状況を受けて雇用も悪化しており、9月の失業率は10.8%に達した。

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モスコビシ財務省によると、この企業減税は向こう5年で国内総生産(GDP)を年平均0.5%押し上げ、同期間に30万人の雇用を創出する効果が期待できるとしている。

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エアバスの親会社である欧州の航空防衛大手EADSのガロワ前最高経営責任者(CEO)は5日、政府から委託されてまとめた提言書を発表し、年300億ユーロの企業減税実施を勧告していた。200億ユーロの減税はこれを下回るものの、社民主義のオランド政権が財界優遇を嫌い、勧告を無視するとの観測も出ていたことから、経済界では歓迎の声が挙がっている。

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