2012/11/19

環境・通信・その他

航空機のCO2排出規制を一時凍結、国際的批判受け方針転換

この記事の要約

欧州委員会は12日、EU域内を発着する航空機に対して実施している二酸化炭素(CO2)の排出規制について、EUと域外を結ぶ国際線への適用を1年間凍結すると発表した。今年1月に導入された同規制をめぐっては、米国やロシア、中国 […]

欧州委員会は12日、EU域内を発着する航空機に対して実施している二酸化炭素(CO2)の排出規制について、EUと域外を結ぶ国際線への適用を1年間凍結すると発表した。今年1月に導入された同規制をめぐっては、米国やロシア、中国、インドなど多くの国から強い反発の声があがっていた。域内を運航する路線はこれまで通り規制対象となる。

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EUは地球温暖化対策の一環として、排出量取引制度(EU-ETS)に基づき域内の空港を発着するすべての航空会社にCO2の排出削減を義務付け、達成できない場合は超過分の排出枠を購入するか、制裁金の支払いを求めている。域外国からはEU域内だけでなく飛行ルート全体が規制の対象となる点や、制裁金が温暖化対策費ではなくEUの財源になる点などに批判が集中している。中国とインドの両政府は、国内の航空会社に対しEUのルールに従わないように指示。米国でも近く、議会で対抗法案の審議が再開される。

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欧州委のヘデゴー委員(気候変動担当)は記者会見で、9日に開かれた国際民間航空機関(ICAO)理事会で、航空業界の地球温暖化対策に関する国際的なルール作りに向け進展が見られたことに言及。「我々が長年求めてきたチャンスがようやく訪れた」と期待感を示すとともに、EU内外を結ぶ航空機をEU-ETSの対象に含めることを、来年秋のICAO総会まで一時凍結するようEU加盟27カ国に勧告したことを明らかにした。一方で、来年秋までに国際的な合意がまとまらなかった場合は、「言うまでもなくEU-ETSは自動的に現状に戻る」として、排出規制を国際線に再び適用する考えを示した。

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