2012/11/26

産業・貿易

EUとカナダのFTA交渉が進展、「数週間以内」の妥結も視野に

この記事の要約

EUとカナダは22日、ブリュッセルで自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を行い、農業や政府調達など主要分野の課題について協議を行った。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は声明で「協定締結に向けて明らかに大きく前進した […]

EUとカナダは22日、ブリュッセルで自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を行い、農業や政府調達など主要分野の課題について協議を行った。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は声明で「協定締結に向けて明らかに大きく前進したが、解決すべきいくつかの重要な作業が残っている」と指摘。そのうえで「今後数週間以内」に交渉が妥結する可能性もあるとの見方を示した。

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EUとカナダは2009年5月の首脳会議でFTA締結に向けた交渉開始で正式合意した。双方は貿易の自由化だけでなく、経済協力関係を強化する広範かつ包括的な協定を目指して同年10月から交渉を重ねているが、農産品の市場アクセス、政府調達市場の開放、投資の保護、食品の地理的表示(GI)制度をはじめとする知的財産権保護などの分野で課題が残っている。欧州委は声明で「EUとカナダはそれぞれの交渉担当者に対し、未解決の問題について意見の違いを埋めるよう指示することを確認した」と説明。早期の交渉妥結を目指す姿勢を強調している。

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2011年の貿易統計によると、EU・カナダ間の貿易額は1,170億ドルに上る。EUにとってカナダは12番目の貿易相手国で、主要8カ国(G8)とのFTA交渉はカナダが初めて。一方、カナダにとってEUは米国に次ぐ2番目の貿易相手となっている。交渉開始前の2008年に作成された報告書によると、FTAの締結でEUとカナダのGDPは7年以内にそれぞれ116億ユーロ、120億ドル拡大し、EUからカナダへの輸出は24.3%、カナダからEUへの輸出も20.6%伸びると試算されている。

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