2012/12/27

総合 –EUウオッチャー

伊モンティ首相は総選挙に出馬せず、要請あれば続投も

この記事の要約

イタリアのモンティ首相が21日、正式に辞任した。これを受けてナポリターノ大統領は22日に上下両院を解散。来年2月24、25日に総選挙が実施されることが決まった。次期政権が発足するまで暫定首相として選挙管理内閣を率いるモン […]

イタリアのモンティ首相が21日、正式に辞任した。これを受けてナポリターノ大統領は22日に上下両院を解散。来年2月24、25日に総選挙が実施されることが決まった。次期政権が発足するまで暫定首相として選挙管理内閣を率いるモンティ氏は23日、総選挙に出馬しないことを宣言したが、自身の改革路線を支持する政党から要請があれば、首相候補となることを受け入れる意向を表明し、続投への意欲も示した。

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モンティ氏は終身上院議員となっているため、総選挙に出馬しなくても首相となることは可能。同氏は23日の記者会見で、新政権が進めるべき構造改革に関する提言書を発表した上で、「もし1つ以上の政党が私の政策を支持し、私に首相候補となるよう要請すれば、それを検討する」と述べた。

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モンティ氏は昨年11月に首相に就任。最大の課題である債務危機の打開に向けて実務派内閣を組織し、財政再建策を推進した結果、イタリアの信用不安は大きく後退し、ギリシャなどのようにEU、国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けることなく財政を立て直すことができるという気運が広がっている。しかし、前任者であるベルルスコーニ前首相が率いる中道右派の自由国民党が緊縮路線に反発し、内閣への支持を撤回したことから政権運営に行き詰まり、12月8日に辞意を表明していた。

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モンティ氏をめぐっては、EUや国内経済界が手腕を高く評価し、続投を求めている一方で、増税など厳しい緊縮策に一般市民の多くや労組が反発し、支持率は当初より下がっている。

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総選挙にはベルルスコーニ前首相が返り咲きを狙って立候補する構えを示しているが、最新の世論調査では自由国民党の支持率は低迷し、中道左派の民主党が第1党となりそうな情勢だ。同党の党首で、次期首相の最有力候補となっているピエルルイジ・ベルサニ書記長は、現政権の改革路線を大筋で継承する方針を掲げているが、モンティ氏の続投には否定的。支持母体である労組に配慮し、緊縮策を一部見直すことも示唆している。

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モンティ氏の続投は、総選挙で民主党が圧勝には至らず、他の中道勢力との連立政権が樹立する場合に限られそうだ。

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