2013/1/7

総合 –EUウオッチャー

財政規律新条約が発効、ユーロ圏12カ国が批准

この記事の要約

債務危機対策の一環として、EU加盟国に財政均衡を義務づける財政規律新条約が1月1日付で発効した。EUは従来の安定成長協定よりも厳しく各国の財政赤字を制限する新条約を財政統合に向けた重要な一歩と位置づけており、債務危機の再 […]

債務危機対策の一環として、EU加盟国に財政均衡を義務づける財政規律新条約が1月1日付で発効した。EUは従来の安定成長協定よりも厳しく各国の財政赤字を制限する新条約を財政統合に向けた重要な一歩と位置づけており、債務危機の再発防止策としての実効性が問われることになる。

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EUは加盟国が財政規律を守らなかったことが深刻な債務危機を招いたとの反省に立ち、昨年3月の首脳会議で英国とチェコを除く25カ国が財政規律強化に向けた新条約に署名した。ドイツやフランスなどに続いて先月21日にはフィンランドが新条約の批准手続きを終え、ユーロ圏17カ国のうち12カ国の批准という条約発効の要件を満たした。新条約は当面、ユーロ圏諸国のみに適用される。

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新条約では、各国は単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比0.5%以内に抑えることが義務づけられ、発効から1年以内にこれを憲法などに明記しなければならない。累積債務がGDP比60%以内に収まっている国については単年赤字がGDPの1%まで許容されるが、財政規律を定めた現行の安定成長協定の同3%に比べると厳しい水準となる。赤字が上限を超えた国は財政改善を求められ、対応が不十分な場合はGDP比0.1%に相当する制裁金が科される。

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ユーロ圏ではこれまでに独仏のほか、オーストリア、キプロス、エストニア、スペイン、ギリシャ、イタリア、アイルランド、ポルトガル、スロベニア、フィンランドが新条約を批准している。非ユーロ圏では英国とチェコが国益に反するとして条約への参加を拒否する一方、デンマークなど4カ国はすでに批准手続きを終えている。

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