2013/1/7

産業・貿易

ポーランドがGM作物の栽培禁止、EU内の意見対立に乗じ独自判断

この記事の要約

ポーランド政府は2日、EUが認可している遺伝子組み換え(GM)が施されたジャガイモとトウモロコシを国内で栽培することを禁止する方針を打ち出した。今月28日から同措置が適用される。GM作物の栽培認可をめぐっては、EU全体の […]

ポーランド政府は2日、EUが認可している遺伝子組み換え(GM)が施されたジャガイモとトウモロコシを国内で栽培することを禁止する方針を打ち出した。今月28日から同措置が適用される。GM作物の栽培認可をめぐっては、EU全体の決定に各国が従う現行システムを維持すべきか、それとも各国政府に最終判断を委ねるべきか議論が続いており、ポーランドはいわば法の抜け穴を利用して独自に判断を下した格好だ。

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栽培禁止の対象は、独BASFが開発したGMジャガイモ「アムフローラ(Amflora)」と米モンサントのGMトウモロコシ「MON 810」。EUはこれら2品種について、安全性が確認されたとして域内での栽培を認可している。ポーランドではEUの決定に基づき、昨年11月に議会上院がGM作物の登録および販売に関する法案を可決したが、トゥスク首相はその直後にGM作物の流通を禁止する意向を表明していた。

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EU内ではGM作物をめぐる加盟国の意見対立が続いており、EUが認可したGM作物に対する実際の対応も国によってばらつきがある。このため欧州委は2010年7月、健康や環境への影響分析に基づくGM作物の認可手続きは存続させたうえで、EUが科学的に安全と認定した品種に関しても、倫理面や社会・経済面への影響などを考慮して加盟国が独自に国内での栽培を禁止または制限できるようにする仕組みの導入を提案した。各国に最終判断を委ねることで認可手続きを迅速化し、非GM作物とGM作物の共存を推進して域内農業の競争力を強化する狙いがある。しかし、GM作物の栽培を認可した国と禁止した国が隣接する場合の汚染防止策などをめぐって調整が進まず、加盟国からは各国政府に難問を突きつけて責任を押しつけることは誤りだといった批判も出ている。

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