2013/1/7

産業・貿易

加盟国が13年漁獲規制で合意、タラ・カレイの削減幅縮小

この記事の要約

EU加盟国は先ごろ開いた漁業相理事会で、北大西洋を中心とした域内共通海域における2013年の漁獲規制で合意した。乱獲による海洋資源の枯渇を防いで持続可能な漁業を推進するため、欧州委員会はタラ、ヒラメ、ニシンなど幅広い魚種 […]

EU加盟国は先ごろ開いた漁業相理事会で、北大西洋を中心とした域内共通海域における2013年の漁獲規制で合意した。乱獲による海洋資源の枯渇を防いで持続可能な漁業を推進するため、欧州委員会はタラ、ヒラメ、ニシンなど幅広い魚種について漁獲可能量(TAC)の大幅な削減を提案していたが、水産加工業を含めて約35万人に上る漁業従事者を保護する立場から漁業国が揃って難色を示し、最終的に多くの魚種で削減幅が縮小された。

\

EUでは国際海洋調査評議会(ICES)の勧告に基づいて欧州委が1年ごとにTACの原案をまとめ、漁業相理で最終決定した後、過去の実績などを基に魚種別に各国の漁獲割当を配分している。欧州委は今回、合わせて47の魚種についてTACの削減を提案していたが、スペイン、フランス、英国、デンマークなどの強い反発により、削減幅は大幅に縮小された。たとえばアイリッシュ海、英仏海峡、ビスケー湾のタラは前年比55%、北海のカレイは35%、英仏海峡のシタビレメは14%の削減案に対し、最終な削減幅はそれぞれ15%、25%、6%となっている。

\

欧州委のダマナキ委員(海事・漁業担当)は声明で、現在は域内海域で捕獲される魚種の85%について科学的データに基づく専門家の助言が受けられるようになり、この割合は1年前に比べて2倍に拡大したと指摘。「欧州委の提案はより野心的な内容だったが、妥協が成立したことに満足している」と述べ、15年までに大部分の魚種について、資源を減らすことなく漁獲量を最大化する「最大維持可能漁獲量(MSY)」の達成が可能との見方を示した。

\

一方、環境保護団体からは、漁業国の圧力でTACの削減幅が大幅に縮小されたことに対して批判の声が上がっている。世界自然保護基金(WWF)の幹部は「加盟国の漁業相は北海の過剰漁獲を解消するために必要な措置を講じておらず、またしても資源保護よりも漁業部門の短期的な利益を優先した」と指摘している。一方、欧州議会は今月に入り、主要魚種については単年ごとにTACを設定する現行システムに代わり、長期的な管理計画に基づいて漁獲割当を固定させる新たな規制策を賛成多数で可決している。

\