2013/1/14

産業・貿易

ダイムラーがエアコン代替冷媒に未対応、欧州委が認可拒否も

この記事の要約

地球温暖化対策の一環としてEUが制定した「カーエアコン指令」に関連して、独自動車大手ダイムラーは規制対象の代替フロンに代わる新たな冷媒の導入が遅れているため、新型車の車両型式認可を取得できない可能性が出てきた。欧州委員会 […]

地球温暖化対策の一環としてEUが制定した「カーエアコン指令」に関連して、独自動車大手ダイムラーは規制対象の代替フロンに代わる新たな冷媒の導入が遅れているため、新型車の車両型式認可を取得できない可能性が出てきた。欧州委員会の報道官はAFP通信の取材に対し、今年1月以降に域内で販売されるすべての新型車には温室効果ガス排出量の少ない代替冷媒が使用されなければならないと指摘し、「ダイムラーの新モデルが基準を満たしていない場合は販売を認めることはできない」と警告している。

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エアコンなどの冷媒として広く使用されている代替フロンはオゾン層の破壊作用が小さいという利点がある一方で、二酸化炭素(CO2)を大幅に上回る温暖化作用があり、京都議定書の規制対象になっている。このためEUは2006年、代替フロン類をカーエアコンの冷媒として使用することを厳しく制限するルールを導入。2011年1月1日以降に出荷される新型車(乗用車と軽商用車)には、「ハイドロフルオロカーボン(HFC)-134a(R134a)」など、GWP(地球温暖化係数:CO2の何倍の温室効果を有するかを示す値)が150を超える冷媒を用いたエアコンを装着することはできず、2017年以降はすべての新車に適用が拡大されることになっている。

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欧州自工会(ACEA) はEU指令への対応を一本化していないが、ドイツ自動車工業会(VDA)は2010年、HFC-134aに代わる冷媒として「テトラフロロプロペン(HFO)-1234yf」を選定。自動車メーカーは今年1月以降に出荷する新型車のカーエアコンにHFO-1234yfを使用するよう求められている。しかし、ダイムラーはHFO-1234yfが可燃性ガスで衝突時などに引火しやすい点を問題視し、VDAに対し新たな認可基準の適用を6カ月遅らせるよう求めている。

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欧州委のコラッツァ報道官は「最終的にHFC-134aに代わる次期冷媒を選定したのは欧州委ではなく、業界団体だ」と指摘。ダイムラーからの要請には「留意している」としたうえで、「独当局は新ルールに適合していないモデルを認可すべきではない」と述べた。

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