2013/1/21

産業・貿易

欧州議会が格付け会社規制案を可決、加盟国の承認経て今春施行へ

この記事の要約

欧州議会は16日の本会議で、EU域内で活動する格付け会社に対する規制を強化する法案を賛成多数で可決した。EU加盟国はすでに規制案の内容で合意しており、財務相理事会の正式な承認を経て、今春にも新ルールが導入される見通しだ。 […]

欧州議会は16日の本会議で、EU域内で活動する格付け会社に対する規制を強化する法案を賛成多数で可決した。EU加盟国はすでに規制案の内容で合意しており、財務相理事会の正式な承認を経て、今春にも新ルールが導入される見通しだ。

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EUは2010年から登録制を導入するなど、域内で活動する格付け会社に対する監視を行っているが、加盟国の間では不透明な判断基準に基づく国債の相次ぐ格下げが欧州の債務危機を悪化させたとの批判が高まっていた。欧州委はこうした批判を踏まえ、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスの大手3社による寡占状態を改善して格付け会社の競争を促し、格付けの透明性を高める必要があると判断。10年11月に輪番制の導入などを盛り込んだ規制強化策を打ち出し、加盟国と欧州議会で検討が進められていた。

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新たな規制案によると、格付け会社はソブリン債の格付けを行う場合、前年末までに最大で年3回の格付け公表日を設定して各方面に通知しなければならず、格付けの公表は欧州金融市場における取引終了後、または取引開始の1時間前までに行う必要がある。また、格付け会社が勧告などの形で加盟国の政策に介入することは禁止される。

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格付け会社は格付けの変更に際して判断の根拠を示すことが義務づけられ、故意または重大な過失による誤った格付けによって損害を受けた場合、投資家が居住国の法律に基づいて損害賠償を請求できる制度が導入される。

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一方、格付けプロセスの公正性を確保するため、投資家などが複数の格付け会社に出資できる上限は5%に制限される。また、格付け会社は10%以上の議決権を保有している企業の格付けを差し控えるか、資本関係が格付け判断に影響している可能性があることを明らかにしなければならない。

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このほか外部機関が行う格付けへの過度の依存を抑制するため、金融機関や投資会社は独自にリスク評価の仕組みを整備することが求められる。さらに欧州委員会に対しても、EU各国の国債や域内企業の社債などの信用度を独自に評価する独自のシステムを構築するよう求めている。

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一方、輪番制に関しては、適用対象が債務担保証券(CDO)などの再証券化商品に限定され、同じ格付け会社を継続して起用できる期間も原案の3年から5年に延長された。

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