2013/1/21

競争法

米UPSが蘭TNT買収を断念、EUの認可拒否で

この記事の要約

米物流大手UPSは14日、オランダ同業のTNTエクスプレスを買収する計画を断念したと発表した。EUの欧州委員会が競争上の観点から認可を渋ったためで、欧州物流市場の再編につながる大型買収は実現に至らなかった。\ UPSは2 […]

米物流大手UPSは14日、オランダ同業のTNTエクスプレスを買収する計画を断念したと発表した。EUの欧州委員会が競争上の観点から認可を渋ったためで、欧州物流市場の再編につながる大型買収は実現に至らなかった。

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UPSは2012年3月、TNTを約52億ユーロで買収することで合意。これが実現すると、欧州のエクスプレス便市場でドイツポスト傘下のDHLを抜き最大手に浮上するはずだった。

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同買収計画関して欧州委は、UPSがTNTを統合すると、欧州の小口宅配便市場で、世界各国にネットワークを持ち、集荷から配送までのサービスを提供する事業者(インテグレーター)が両社にDHL、米フェデックスを加えた4社から3社に減り、寡占化が進むとして難色を示し、10月に異議告知書を送付していた。

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これを受けてUPSとTNTは、航空事業の売却などを提案したが、欧州委はなお競争上の問題があると判断したことから、UPSは買収の断念を迫られた。

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TNT はUPSから買収合意破棄の違約金として2億ユーロを受け取る。しかし、買収が流れたことで同社の株価は14日、前営業日(11日)と比べて一時42%も急落し、44億8,100万ユーロだった時価総額は25億6,000万ユーロまで減少し、大きな打撃を受けた。

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EUの認可拒否によって大型の買収・合併が流れた例としては、米ゼネラル・エレクトリック(GE)による米航空電子部品大手ハネウエル・インターナショナルの買収、フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所とNYSEユーロネクストの合併などのケースがある。

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