2013/1/28

総合 –EUウオッチャー

EU残留問う国民投票実施へ、英首相が表明

この記事の要約

英国のキャメロン首相は23日、2015年の次期総選挙で与党が勝利した場合、英国のEU残留の是非を問う国民投票を実施すると表明した。同国では欧州の信用不安をきっかけに国民の間でEUに対する懐疑論が急速に広まっている。\ 同 […]

英国のキャメロン首相は23日、2015年の次期総選挙で与党が勝利した場合、英国のEU残留の是非を問う国民投票を実施すると表明した。同国では欧州の信用不安をきっかけに国民の間でEUに対する懐疑論が急速に広まっている。

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同首相はロンドン市内で行った演説で、EUに対する国民の幻滅は「最高潮に達している」と指摘するとともに、総選挙で勝利したあかつきにはEUとの間で英国の関係を再交渉したうえで、17年末までにEUに残留するか離脱するかについて国民に問う考えを明らかにした。一方で、自身の最優先課題はEU条約の見直しであり、EUからの離脱ではないと強調。新しいEU条約は、EUのあり方を変え、単一市場を保護、完成させ、EUに移譲した権限の一部を加盟国に取り戻し、欧州経済の競争力をより高めるものでなければならないと語った。

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与党保守党内ではこのところEUに懐疑的な勢力が勢いを増しており、キャメロン首相の求心力低下が懸念されている。同首相が今回、国民投票の実施に言及した背景には、EU懐疑派にアピールし不満をかわす狙いがあると見られる。ただ、こうした首相の姿勢には政財界から疑問の声があがっている。保守党と連立を組む自由民主党党首のクレッグ副首相は、「長期に渡る曖昧な再交渉」が、景気後退により打撃を受けた英国経済の再建を難しくすると発言。最大野党・労働党のミリバンド党首も、首相が「経済を大きなリスクにさらす」と批判した。また、世界最大の広告会社WPPのソレル最高経営責任者は、「再交渉が可能かどうかもはっきりせず、不確実な点が多い」と懐疑的な見方を示した。

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