2013/2/18

産業・貿易

「メイドイン~」の原産地表示義務付け、欧州委が消費者保護対策で提案

この記事の要約

欧州委員会は13日、消費保護の一環として、EU内で販売される製品(食品を除く)に「メイドイン~」の形で原産地表示を義務付けることを提案した。加盟国と欧州議会による承認を経て、2015年に実施する方針だ。\ 同方式による原 […]

欧州委員会は13日、消費保護の一環として、EU内で販売される製品(食品を除く)に「メイドイン~」の形で原産地表示を義務付けることを提案した。加盟国と欧州議会による承認を経て、2015年に実施する方針だ。

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同方式による原産地表示を義務付けるルールは米国、日本、中国などで導入されている。EUでは加盟国の一部が導入していたが、欧州司法裁判所が1981年、EU単一市場の理念に反するとして禁止する判決を下したため、義務化はされていない。EUは一部製品を対象に、同ルールを域内共通で導入しようとしたが、自由貿易主義の英国、ドイツなどが不当な輸入制限に当たるとして反発し、実現に至らなかった経緯がある。また、世界貿易機関(WTO)も原産地を「メイドイン~」として特定することは、サプライチェーンがグローバル化している現在では無意味で、保護主義にもつながるとして難色を示している。

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欧州委の産業・企業総局と保健・消費者保護総局がまとめた提案では、製品の安全性確保、問題が生じた際の追跡を容易にするため、輸入品を含めた製品に「メイドイン~」方式での原産地表示を義務付ける。EU加盟国の製品である場合は、「メイドイン・EU」とするか、「メイドイン・ドイツ」などのように当該国の国名を表記する。例えば、米アップルのアイフォーンは現在、EUで「カリフォルニアでアップルによってデザインされ、中国で組み立てられた」と表示されているが、単に「メイドイン中国」と表示されることになる。

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同提案は、衣料・革製品などの高級ブランド製品を自国で生産する欧州企業が、低賃金国で生産される製品との差別化を図れるとして支持しており、仏LVMHモエヘネシー・ルイ・ヴィトンのパロマ・カストロ取締役は「画期的な決定だ」と歓迎の意を表した。

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一方、中国など低賃金国への生産移転が進む英国、ドイツなどによる反対は必至の見通し。中国に生産拠点があるドイツの大手スポーツ用品メーカーの幹部は、「当社の製品は極めて高品質だが、中国製というラベルが貼られると多くの消費者に低品質だと誤解される。中国で靴、シャツなどを生産する他の企業も打撃を受けるため、ドイツ政府が提案を支持するわけがない」とコメントしている。

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