2013/3/11

競争法

マイクロソフトに5.6億ユーロの制裁、ブラウザーめぐる是正不履行で

この記事の要約

欧州委員会は6日、米マイクロソフトが同委と合意したインターネット閲覧ソフト(ブラウザ)の提供に関する是正措置を履行しなかったとして、同社に対して5億6,100万ユーロの制裁金を科したと発表した。\ 欧州委は2009 年1 […]

欧州委員会は6日、米マイクロソフトが同委と合意したインターネット閲覧ソフト(ブラウザ)の提供に関する是正措置を履行しなかったとして、同社に対して5億6,100万ユーロの制裁金を科したと発表した。

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欧州委は2009 年1月、マイクロソフトのパソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」と閲覧ソフト「インターネット・エクスプローラー(IE)」の抱き合わせ販売がEU競争法に違反するとして、同社に異議告知書を送った。マイクロソフトはこれを受け、向こう5年間にわたり、EU域内のウィンドウズ利用者が手軽に競合他社の閲覧ソフトを選べる「選択画面」を搭載する改善策を提案。欧州委もこれを受け入れ、同年12月にマイクロソフトに対する調査を打ち切った。

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しかし、欧州委は12年7月、マイクロソフトが11年2月にリリースした「ウィンドウズ7・サービスパック1」には選択画面が搭載されておらず、発売時から約1年半の間、同OSのユーザーに同機能が提供されなかった可能性があると指摘し、改めて同社に対する調査に着手。昨年10月にマイクロソフトは欧州委と合意した是正措置を履行しなかったとの予備的見解をまとめ、同社に異議告知書を送付した。マイクロソフトは「技術的なエラー」のため指摘された期間に閲覧ソフトの選択画面が表示されなかったことを認めたうえで、再発防止に向けて改善策を講じたと説明していた。

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欧州委によると、マイクロソフトは11年5月から12年7月までの14カ月にわたりブラウザ選択画面を設定しておらず、約1,500万人の利用者が影響を受けたという。アルムニア副委員長(競争政策担当)は「マイクロソフトからブラウザ選択画面の設定について提案があり、これを受け入れて09年に同社に対する調査を打ち切った。競争法政策において欧州委と合意した法的拘束力をもつ約束は極めて重要な役割を担っており、当然ながら厳格に遵守されなければならない。履行義務を怠ったことは重大な違反で制裁されなければならない」と述べ、マイクロソフトの対応を厳しく批判している。

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欧州委によると、法的拘束力をもつ欧州委との合意を守らなかったことに対して制裁金を科すのは今回が初めて。欧州委は競争法違反と認定した企業に対し、年間売上高の最大10%の制裁金を科すことができるが、今回はマイクロソフトが調査に協力的であったことなどを考慮して、売上高のおよそ1%に設定された。

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