2013/3/18

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏がキプロス金融支援で合意、要請下回る100億ユーロに

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は15日に開いた財務相会合で、債務危機に陥っているキプロスに国際通貨基金(IMF)と共同で最大100億ユーロの金融支援を実施することで合意した。債務危機でユーロ圏とIMFから支援を受けるのは4カ国目となる […]

ユーロ圏17カ国は15日に開いた財務相会合で、債務危機に陥っているキプロスに国際通貨基金(IMF)と共同で最大100億ユーロの金融支援を実施することで合意した。債務危機でユーロ圏とIMFから支援を受けるのは4カ国目となる。

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キプロス政府は170億ユーロの支援を要請していた。しかし、同額はキプロスの国内総生産(GDP)に相応する規模であることから、ユーロ圏とIMFは利払い負担が重過ぎるとして、100億ユーロにとどめた。

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キプロスは経済的な結びつきが深いギリシャの債務危機に伴い、財政が急速に悪化。さらに国内銀行が多額のギリシャ向け債権を保有していることから経営悪化が深刻で、金融危機にも直面している。政府は金融支援を財政再建と銀行救済に投入する。

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キプロスは昨年6月に金融支援を要請したが、当時の共産主義系政権がユーロ圏から求められた国内銀行のマネーロンダリング対策強化を拒んだため、交渉が停滞していた。しかし、先ごろ発足した新政権が同条件を受け入れたことから、ユーロ圏は支援実施に向けた調整を進めていた。

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10時間に及んだ財務相会合の協議では、ユーロ圏がキプロスに支援の条件として、法人税の税率を10%から12.5%に引き上げることや、国内銀行の預金者にも負担を強いることを要求。これをキプロスが受け入れ、16日未明に支援実施で合意した。銀行の預金者に対しては、預金額が10万ユーロを超える場合に最大9.9%、同10万ユーロ以下の場合に6.75%を1回限りで課税する。

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ユーロ圏とIMFはこれまでにギリシャ、ポルトガル、アイルランドに金融支援を実施している。支援総額はギリシャが約3,800億ユーロ、ポルトガルが780億ユーロ、アイルランドが850億ユーロ。このほかユーロ圏はスペイン政府に国内銀行救済のための支援を実施しており、これとキプロスを含めた支援対象国は5カ国となる。

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