2013/3/11

環境・通信・その他

排出枠無償割当ルールは「合法」、欧州裁がポーランドの訴え棄却

この記事の要約

EU域内排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-2020年)における排出枠の無償割当方法を定めたルールがEU法に違反するとして、ポーランドが欧州委員会を提訴していた問題で、欧州司法裁判所の一般裁判所は7日、ポ […]

EU域内排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-2020年)における排出枠の無償割当方法を定めたルールがEU法に違反するとして、ポーランドが欧州委員会を提訴していた問題で、欧州司法裁判所の一般裁判所は7日、ポーランドの訴えを退ける判決を言い渡した。

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EU-ETSの第1期間(05-07年)では全体の95%、第2期間(08-12年)でも90%の排出枠がグランドファザリング方式によって対象施設に無償で割り当てられてきたが、第3期間以降は段階的にオークションによる有償配分の比率を高め、27年までに全面移行することが決まっている。ただし、厳しい国際競争下で規制の緩い第3国に生産拠点を移すことにより、結果的に全体の二酸化炭素(CO2)排出量が増えてしまう「カーボンリーケージ」のリスクが高い産業セクターに関しては、ベンチマーク方式による排出枠の無償割当が実施される。無償割当量の算出基準となる製品ベンチマーク(生産量当たりのCO2排出量)は、域内における同一製品を製造する施設のうち、07-08年実績で最も効率的な上位10%の平均値と規定されており、欧州委は「排出枠の無償割当に関する決定」(11年4月27日付)で52の製品ベンチマークを公表している。

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電力需要の約90%を石炭火力に依存するポーランドは同決定について、欧州委はベンチマークの策定にあたり、国ごとに異なるエネルギー利用パターンを考慮しておらず、妥当性を欠く排出枠の無償割当ルールによって域内の企業は過度の負担を強いられるなどと主張。11年7月に欧州委を提訴した。

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欧州裁は判決で、ベンチマーク方式による無償割当ルールによって加盟国が独自にエネルギーミックスを決定する権利が侵害されるわけではないと指摘。欧州委の決定はEU法に違反するとのポーランド側の主張には根拠がないと結論づけた。

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欧州委・気候行動総局の報道官は判決を受け、「排出枠の無償割当について法的明確性を与えるものだ」とコメント。一方、ポーランド環境省は声明で「今回の判決は、将来的に同じようなルールが導入されずにすむよう、2030年に向けた気候変動政策をめぐる議論にポーランドが積極的に関与する強い動機づけになった」と強調している。

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