ポルトガルの憲法裁判所は5日、同国政府が2013年予算に盛り込んだ緊縮策のうち、公務員の賞与削減など4つの項目について違憲との判断を下した。ポルトガル政府は6日に臨時閣議を開いて対応を協議したが、違憲とされた政策に代わる代替策は提示されなかったもよう。緊縮財政を進めるには早急に新たな歳出削減策や増税策をまとめる必要があるが、政府関係者からは悲観的な声も出ており、再建計画に深刻な影響が出る可能性がある。
\ポルトガル政府はEUや国際通貨基金(IMF)による総額780億ユーロに上る支援の条件に基づき、13年度予算に50億ユーロ超の緊縮策を盛り込んだ。予算案は連立与党の賛成多数で可決されたが、野党は社会保障費の大幅な削減に強く反発し、憲法裁判所に合憲性の審査を要請。憲法裁は歳出削減と増税合わせて9つの政策について検証を進めていた。
\憲法裁が違憲と判断したのは、公務員の賞与削減、年金受給額の引き下げ、失業手当の減額など。一方、税率区分の簡素化や、年金収入に対する税率引き上げなどの増税策は合憲と認定された。エコノミストらによると、違憲とされた4つの政策による影響はおよそ9億ユーロに上る。
\憲法裁が財政緊縮策に違憲判決を出したのは今回が2回目。昨年7月には当初の緊縮策に盛り込まれていた、公務員の賞与を夏・冬合わせて2カ月分削減する計画を違憲と判断。政府はこれを受けて賞与の削減を夏か冬のいずれか1カ月分とし、その穴埋めとして、固定資産税の増額や所得税の控除見直しなどの追加策を打ち出した経緯がある。
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