2013/4/8

産業・貿易

カナダとのFTA交渉、欧州委が自動車分野で数量制限など検討か

この記事の要約

EUとカナダの自由貿易協定(FTA)締結交渉で、焦点の1つになっている自動車分野に関する協議が最終局面に入ったもようだ。2009年にスタートした交渉では自動車以外にも農産品や政府調達などの分野でなお課題が残っているが、E […]

EUとカナダの自由貿易協定(FTA)締結交渉で、焦点の1つになっている自動車分野に関する協議が最終局面に入ったもようだ。2009年にスタートした交渉では自動車以外にも農産品や政府調達などの分野でなお課題が残っているが、EUは米国とも6月末までにFTA交渉を開始することで合意しており、対米協議が本格化する前の妥結を目指してカナダとの交渉が大きく前進する可能性がある。

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カナダの自動車産業はほとんどが米国に依存しているため「カナダ車」の定義が難しく、このことがFTA交渉を進めるうえで障害になっている。カナダ通信(CP)が入手した欧州委員会の内部文書によると、EU側はまず第1段階として、割当制度を導入して双方が台数制限を設け、その後に米国を含めた3者間の協議で最終調整を図る――という段階的な解決方法を検討している。ただ、関税ゼロまたは低税率を適用する輸入数量(欧州委はこれを「特例(derogation)」と呼んでいる)について具体的な数字は示しておらず、カナダ側が提案している年間10万台(乗用車)に対する反応も不明だ。

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一方、欧州委は第2段階の米国を含めた交渉で、カナダから輸出される自動車の部品調達比率について3者が合意できれば数量制限を撤廃するとしており、乗用車については「北米以外からの部品調達比率が40%未満」のものをカナダ車とみなす旨の原産地ルールを協定に盛り込むことを提案している。

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カナダ国際貿易省の広報担当はCP通信の取材に対し、「カナダとEUの間では生産的な話し合いが進展しているが、流出した文書に関する憶測にはコメントできない」と述べ、自動車の原産地ルールをめぐる協議については言及を避けた。一方、カナダの野党第一党・新民主党(NDP)のデイビース議員は「カナダ・EU間のFTA交渉では、相当量の米国産部品を使用した自動車が『カナダ車』として関税ゼロまたは低税率でEU市場に輸出されるという事実を正確に認識し、適切な水準の数量制限を設ける必要がある」と指摘している。

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