2013/4/8

産業・貿易

EUと日本が4月にEPA交渉開始、電話首脳協議で合意

この記事の要約

EUと日本は3月25日、貿易や投資、サービスを自由化する経済連携協定(EPA)の本交渉を4月に開始することで合意したと発表した。世界のGDPの3割以上を占める巨大な自由貿易圏の創設に向けた協議が、いよいよ本格化する。\ […]

EUと日本は3月25日、貿易や投資、サービスを自由化する経済連携協定(EPA)の本交渉を4月に開始することで合意したと発表した。世界のGDPの3割以上を占める巨大な自由貿易圏の創設に向けた協議が、いよいよ本格化する。

\

EUと日本とは25日に東京で諸脳会談を行う予定だった。しかし、EU側がキプロス金融支援問題への対応に追われたことから中止となり、代わって安倍首相とEUのファンロンパイ大統領(欧州理事会常任議長)、欧州委員会のバローゾ委員長による電話協議で、EPA交渉開始で合意した。欧州委の声明によると、初回の協議は4月15~19日にブリュッセルのEU本部で行われる予定だ。

\

日本とEUは2012年5月にEPA締結に向けた予備交渉を完了。欧州委員会は7月に本交渉の開始を加盟国に提案し、11月に承認されていた。

\

EUは日本にとって米国、中国に次ぐ貿易相手で、2011年の輸出額は約675億ユーロに上る。日本側はEPA交渉で、EUが日本車にかけている関税(乗用車10%、トラック22%)の引き下げなどを求める方針だ。

\

一方、EUにとって日本は世界7位の貿易相手国。11年の輸出額は機械、輸送機器、化学品、農産物などを中心に490億ユーロに達した。欧州委はEPA締結でEUの輸出が32.7%増え、GDPが0.6~0.8%押し上げられ、42万人の雇用を創出する効果をもたらすと試算している。交渉では日本の公共調達市場の開放促進、自動車輸入の非関税障壁撤廃などを目指す。

\

EU内ではフランスを中心に、対日EPAに批判的な動きが根強い。すでに日本がEU産の食品・飲料への関税を引き下げ、自動車の関税をゼロにしていることなどからEPA締結のプラス効果が少ない一方で、EUが日本の自動車への関税引き下げを迫られることが背景にある。このため欧州委は、EUが問題視している日本の自動車、医薬品市場などの非関税障壁について、交渉開始から1年以内に日本が撤廃に応じない場合は交渉を打ち切ることや、自動車など自由化による影響が大きい分野に関してセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動する権利を交渉で求める方針を打ち出し、加盟国と欧州議会の同意を得た経緯がある。

\