2013/4/8

環境・通信・その他

仏など6カ国がグーグルを調査、プライバシー保護がEU法に違反

この記事の要約

仏データ保護当局のCNILは2日、英独などEU5カ国の監督機関と共同で、米検索大手グーグルのプライバシーポリシーに関する調査を進めると発表した。EU27カ国のデータ保護当局で構成する第29条作業部会は昨年10月、グーグル […]

仏データ保護当局のCNILは2日、英独などEU5カ国の監督機関と共同で、米検索大手グーグルのプライバシーポリシーに関する調査を進めると発表した。EU27カ国のデータ保護当局で構成する第29条作業部会は昨年10月、グーグルが昨年3月に導入した個人情報の取扱いに関する指針がEUデータ保護指令に準拠していないとの見解をまとめ、同社に改善を求めた。しかし、4カ月の期限を過ぎてもグーグルが改善策を講じなかったため、法的制裁を視野にCNILが中心となってさらに詳しい調査を行う。

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グーグルは昨年1月、個々の製品やサービスに対する合わせて60以上のプライバシー関連のドキュメントを統合し、同社が収集するユーザー情報やその用途について分かりやすく説明するという内容の新たな指針を発表。検索、電子メール、動画共有サイトのユーチューブなど、複数のサービスを利用しているユーザーの情報を一元管理することで、個々のユーザーの関心やニーズを検索結果に反映させたり、より関連性の高い広告を掲載することなどが可能になり、「ユーザー体験の向上」につながると主張していた。

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しかし、第29条作業部会はユーザー本人の同意がないにもかかわらず、異なるプラットフォーム間で個人情報が共有される点などを問題視し、グーグルにポリシー改訂の延期を求めたが、同社は計画通りに3月1日から新たな指針を適用。第29条作業部会はおよそ半年をかけて個人情報保護ルールとの整合性について調査を行い、グーグルの新ポリシーはEU法に違反すると結論づけて同社に改善を求めていた。

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すでに第29条作業部会による調査が終了しているため、今後は各国当局がそれぞれ自国の法律に基づいて調査を進めることになる。CNILは2月に英国、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダの当局者に呼びかけて調査委員会(タスクフォース)を創設しており、グーグルに対し、今後は6カ国が共同で調査を行う旨を伝えている。AP通信によると、フランスの法律では個人情報保護違反に対する制裁金は最大30万ユーロとなっている。グーグルの年間売上高(2013年は推定610億ドル)を考えると影響は限定的だが、CNILのピエロタン委員長は「制裁金や罰則を科すことではなく、グーグルにEU法を遵守させることが調査の目的だ」と強調している。

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