2013/5/6

環境・通信・その他

欧州委がミツバチ保護の農薬規制強行、12月から実施へ

この記事の要約

欧州委員会は4月29日、ミツバチ減少の要因として指摘されているネオニコチノイド系農薬3種のEU内での使用を12月から禁止する意向を表明した。EU27カ国の合意は得られていないが、ミツバチ保護のため必要な措置として、禁止を […]

欧州委員会は4月29日、ミツバチ減少の要因として指摘されているネオニコチノイド系農薬3種のEU内での使用を12月から禁止する意向を表明した。EU27カ国の合意は得られていないが、ミツバチ保護のため必要な措置として、禁止を強行する。

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ネオニコチノイド系農薬は世界各地で深刻化しているミツバチが突然大量に失踪する「蜂群崩壊症候群」との関連性が指摘されている。欧州委は1月、欧州食品安全機関(EFSA)がまとめた調査報告書で、ネオニコチノイド系農薬がミツバチの中枢神経系に作用して麻痺や死をもたらすリスクがあると指摘したことを受けて、規制案を発表。独バイエルの農薬部門クロップサイエンスのクロチアニジンとイミダクロプリド、シンジェンタ(スイス)のチアメトキサムの3種の農薬について、冬策穀物や砂糖大根などミツバチ誘引性がない作物を除く全農作物への使用を7月1日から2年間禁止する方針を打ち出していた。

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同規制をめぐっては、農薬メーカー側がネオニコチノイド系農薬と蜂群崩壊症候群との因果関係が立証されてないと主張。加盟国の間でも意見が分かれ、3月中旬に実施された採決では13カ国が賛成したものの、9カ国が同農薬の禁止によって作物の害虫被害が増えるとして反対、ドイツなど3カ国が棄権に回り、結論を持ち越した。

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29日に改めて実施された特定多数決方式(各国の人口に応じて票数を割り当てる投票制度)による採決では、ドイツが棄権から規制支持に転じ、賛同国が15カ国に増えたものの、英国、オーストリア、ポルトガル、チェコ、ハンガリー、スロバキア、ルーマニア、リトアニアの8カ国が反対、アイルランド、ギリシャ、フィンランドが棄権し、過半数の支持を得ることができなかった。

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それでも欧州委のボルジ委員(保健・消費者保護担当)は、単純多数決ベースでは支持国が過半数に達したとして、欧州委が裁量権を行使し、禁止に踏み切る方針を打ち出した。ただし、禁止措置の実施は当初予定していた7月から5カ月先送りし、12月1日とする。数週間以内に正式決定する見通しだ。

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欧州委の禁止強行に対して、欧州の環境保護団体は歓迎しているが、シンジェンタは同日、「科学的根拠に欠ける」と批判する声明を発表した。

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