2013/5/13

総合 –EUウオッチャー

スロベニアが国営企業15社を売却、財政再建で金融支援要請回避へ

この記事の要約

スロベニア政府は9日、経済危機克服に向けた財政再建策を発表した。不良債権問題を抱える国内銀行を支えきれず、EUへの金融支援要請を迫られかねない状況に陥っていることを受けたもので、国営企業15社を売却するほか、付加価値税( […]

スロベニア政府は9日、経済危機克服に向けた財政再建策を発表した。不良債権問題を抱える国内銀行を支えきれず、EUへの金融支援要請を迫られかねない状況に陥っていることを受けたもので、国営企業15社を売却するほか、付加価値税(VAT)の税率を7月に20%から22%に引き上げる。

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民営化によって売却する国営企業には、2位銀行ノヴァ・クレジトナ・バンカ・マリボール(NKBM)や通信最大手テレコム・スロベニア、アドリア航空、リュブリャナ空港の運営会社、スキー用品メーカーのエランなどが含まれる。

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スロベニアは不動産バブル崩壊によって金融システムが混乱。経済も2011年からマイナス成長となっている。特に銀行の不良債権問題が深刻で、大手5行の不良債権額は推定70億ユーロに上り、公的支援の拡大が必要な状況だ。

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こうした中で、政府の財政が悪化し、2012年の財政赤字は国内総生産(GDP)比4%とEUの財政規律で上限となっている3%を超過している。このため、同国が銀行救済のため、ユーロ圏でギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインに続いてEUへの金融支援要請を迫られるとの観測が浮上。米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは4月末、スロベニア国債の格付けを2段階引き下げ、投機的水準の「Ba1」に設定した。

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政府は財政再建による赤字削減で銀行救済のための財源を確保し、金融支援要請を回避したい考え。今回打ち出した国営企業売却、VAT増税に加えて、公務員の給与削減も検討している。

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