2013/6/3

産業・貿易

中国が有機塩素溶剤の反ダンピング調査開始、対中通商摩擦が激化

この記事の要約

中国商務省は5月31日、EUと米国が中国に有機塩素溶剤のテトラクロロエチレン(別名パークロロエチレン)を不当に安い価格で輸出している疑いがあるとして、反ダンピング(不当廉売)調査を開始したと発表した。中国は5月初めにEU […]

中国商務省は5月31日、EUと米国が中国に有機塩素溶剤のテトラクロロエチレン(別名パークロロエチレン)を不当に安い価格で輸出している疑いがあるとして、反ダンピング(不当廉売)調査を開始したと発表した。中国は5月初めにEU、米国、日本製の合金シームレス鋼管に対する反ダンピング調査に着手したばかり。一方、欧州委員会は中国製の太陽光パネルに反ダンピング関税を課す方針を打ち出すなど、EUと中国の間で通商摩擦が激化している。

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新たに調査対象となったテトラクロロエチレンは無色の不燃性液体で、主にドライクリーニングや金属の洗浄剤などに使用されている。中国商務省によると、EUおよび米国から輸入された大量のテトラクロロエチレンが原価を下回る価格で販売されており、国内企業が深刻な被害を受けているとして、複数の企業から調査の要請があったと説明している。

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一方、欧州委は27日、中国が欧州市場で太陽光パネルを不当に安く販売しているとして、6月6日から暫定的に平均47%の反ダンピング関税を課す方針を表明した。ただ、ドイツなどは経済損失の観点から懲罰的課税に反対しており、欧州委も中国側の対応次第では方針を撤回する可能性を示唆している。欧州委はこのほか、中国製の通信機器に関しても、不正な輸出補助を受けて不当な安価で輸出されている疑いが強いとの疑いを強めており、中国側から早急に改善策が示されない場合は調査に踏み切ると警告している。

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