2013/6/17

産業・貿易

個人の金融所得情報を共有、欧州委が脱税対策で提案

この記事の要約

欧州委員会は12日、個人の金融所得に関する情報をEU加盟国間で共有する制度の導入を提案した。企業や富裕層が税率の低い国で納税する租税回避や脱税を防止し、税収を増やすのが狙い。\ EUではすでに各国の金融機関が外国人顧客に […]

欧州委員会は12日、個人の金融所得に関する情報をEU加盟国間で共有する制度の導入を提案した。企業や富裕層が税率の低い国で納税する租税回避や脱税を防止し、税収を増やすのが狙い。

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EUではすでに各国の金融機関が外国人顧客に払った利子などの情報を互いに連絡する制度があり、2015年1月からは給与所得や役員手当、年金や固定資産収入に関する情報を共有することを決めている。今回の提案は、情報共有の対象を株式の配当や売却益など個人の金融取引に絡む所得情報に拡大するもので、これにより加盟国は外国の金融機関に資産を持つ国民についても所得の全容を的確に把握できるようになり、課税逃れの阻止につながると期待される。欧州委のシェメタ委員(税制・関税同盟・会計検査・不正防止担当)は「加盟国は、支払われるべき税金の査定や徴収がしやすくなり、EUは税のグッドガバナンスに関するより高い基準をグローバル規模で推進できるようになる」と、提案の意義を強調した。

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欧州委は年内にも理事会で正式採択したい考え。また、タックス・ヘイブン(租税回避地)として利用されることが多いスイスやリヒテンシュタインなどEUに加盟していない周辺国とも、銀行口座の情報を自動交換できるよう交渉していく方針だ。

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欧州委の試算では、脱税による年間の損失は1兆ユーロに上っている。EUは5月に開いた首脳会議で脱税対策の強化で合意していた。

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