2013/6/17

競争法

カルテルの損害賠償訴訟を容易に、欧州委が法案発表

この記事の要約

欧州委員会は11日、企業のカルテルなど反競争的行為によって損害を受けた企業や消費者が損害賠償請求訴訟を起こしやすくするための指令案を発表した。現行制度では訴訟のハードルが高く、しり込みするケースが多いことを受けたもの。加 […]

欧州委員会は11日、企業のカルテルなど反競争的行為によって損害を受けた企業や消費者が損害賠償請求訴訟を起こしやすくするための指令案を発表した。現行制度では訴訟のハードルが高く、しり込みするケースが多いことを受けたもの。加盟国と欧州議会の承認を経て新ルールを実施する。

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EUではドイツ、フランス、英国、イタリア、スペインなど16カ国で、企業のカルテルなどで不利益を被った企業や消費者が各国の裁判所で損害賠償請求訴訟を起こすことが認められている。しかし、被害の立証が難しいことや、加盟国によって訴訟のルールや手続きが異なることが障害となり、立場の弱い中小企業や消費者が泣き寝入りしているのが実情。欧州委によると、2005年から12年にかけてEU競争法違反で制裁が科された案件で、損害賠償訴訟に至ったのは25%にとどまっている。

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欧州委がまとめた指令案は、◇各国の競争当局が違法と認定した行為をめぐる訴訟では、違法性の立証責任を免除する◇各国の裁判所に、訴えられた企業に証拠開示を命じる権限を与える◇損害が生じた期間、損害額の算定などについてEU共通の指針を設ける――という内容。また、訴訟の手続きやコストを軽減するため、集団訴訟を促進するためのルールを設けることも提案した。

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