2013/6/17

競争法

カード決済手数料めぐるビザの是正案、欧州委が市場テスト

この記事の要約

欧州委員会は13日、国際クレジットカード大手のビザ・ヨーロッパに対する競争法違反の調査に関連して、同社が打ち出した国際決済手数料の大幅な引き下げを柱とする是正策について市場テストを開始した。7月14日まで利害関係者から意 […]

欧州委員会は13日、国際クレジットカード大手のビザ・ヨーロッパに対する競争法違反の調査に関連して、同社が打ち出した国際決済手数料の大幅な引き下げを柱とする是正策について市場テストを開始した。7月14日まで利害関係者から意見を聞き、反論がなければ拘束力のあるルールとして同社に遵守を義務付けたうえで調査を打ち切る。

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欧州委はビザが設定した「多国間交換手数料(MIF)」と呼ばれる手数料がクレジットカード市場における競争を阻害し、加盟店や消費者の負担増につながっているとして是正を求めていた。MIFはクレジットカードやデビットカードによる越境的取引に際して生じる手数料。決済代行銀行がカード発行銀行に支払う手数料だが、実際には加盟店が負担している。デビットカード使用時の手数料に関しては、2010年にビザと欧州委の間で利用額の最大0.2%に制限することで合意が成立したが、クレジットカードの手数料については溝が埋まらず、欧州委は昨年7月に補完的異議告知書(SSO)を送付。ビザ側はこれを受け、5月にMIFの大幅な引き下げを含む是正策を提案していた。

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欧州委によると、ビザは欧州経済領域(EEA)内で適用されるクレジットカード使用時のMIFを利用額の最大0.3%に制限することを提案している。これは現在の水準に比べて40~60%低い水準。ただし、同措置はビザ・ヨーロッパが管轄する地域における越境的取引が対象で、たとえば米国からの旅行者がEU域内でクレジットカードを使用するといったケースには適用されない。

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一方、ビザはクレジットカード市場における銀行間の競争を促進するための制度改正も打ち出した。MIFは現在、利用額の最大0.1~1.5%と国によって大きく異なるが、決済代行業務に関する現行ルールによると、銀行は加盟店が出店する国のMIFを適用するよう義務付けられているため、加盟店は単一市場の恩恵を受けることができない。ビザはこうした制限が銀行間の競争を阻害し、結果として加盟店や消費者に不当な負担を強いているとする欧州委の批判に対応するため、決済代行銀行は今後、自国における国内決済手数料と加盟店が出店する国のMIFのうち、低い方を適用することができるシステムに変更することを提案している。

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1カ月にわたる市場テストで競合他社などから反論が出なかった場合、ビザは2015年1月1日から4年間にわたりこれらの是正措置を実行することが義務付けられる。

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