2013/6/24

総合 –EUウオッチャー

中期予算で加盟国と欧州議会が歩み寄り、成立はなお不透明

この記事の要約

EUの次期中期予算(対象期間:2014~20年)をめぐって加盟国と欧州議会が対立している問題で、双方の代表は19日に行った交渉で、妥協案をまとめた。欧州議会が増額を断念し、加盟国が合意した予算総額を受け入れる代わりに、加 […]

EUの次期中期予算(対象期間:2014~20年)をめぐって加盟国と欧州議会が対立している問題で、双方の代表は19日に行った交渉で、妥協案をまとめた。欧州議会が増額を断念し、加盟国が合意した予算総額を受け入れる代わりに、加盟国側は予算の弾力的な運用を認めるという内容。ただ、欧州議会側では同案を不満とする声が大きく、正式承認されるか微妙な情勢だ。

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中期予算をめぐっては、現行中期予算を5%上回る1兆330億ユーロという欧州委員会の原案について、これを支持する欧州議会と、減額を求める英国、オランダなど加盟国の意見が衝突し、昨年中に合意に至らず、持ち越しとなっている。

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加盟国が2月の首脳会議で合意した中期予算の規模は、現行中期予算(2007~13年)を約1.6%下回る9,599億8,800万ユーロ。欧州の債務危機を受けて各国が財政緊縮を進める中、英国などが増額に強く反対し、中期予算で初の減額となった。

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これに対して欧州議会は、停滞する欧州の景気を押し上げるためには積極的な財政出動が必要として増額を要求し、承認を拒否していた。

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双方の代表が合意した妥協案は、EU議長国アイルランドが提示した案に基づくもの。予算規模は加盟国の合意を踏襲するものの、欧州議会側の要求を考慮し、◇未消化のEU単年予算について、拠出国に返納する現行システムを改め、翌年への繰り越しや、状況に応じた使途の変更をできるようにする◇2016年に増額を含めた予算見直しを実施する――ことなどを盛り込むという内容だ。

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同合意に基づく予算案の成立には、加盟国と欧州議会がそれぞれ正式承認することが必要となる。加盟国側は25日に開く財務相理事会で承認すると目されているが、欧州議会では第2会派の欧州社会党グループが不満を示しており、7月の本会議での採決で承認されない可能性がある。

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