2013/6/24

産業・貿易

EU・米首脳がFTA交渉開始を宣言、7月にワシントンで第1回交渉

この記事の要約

EU首脳とオバマ米大統領は17日、主要国首脳会議(G8サミット)が開かれた北アイルランドのロックアーンで会談し、欧米間の自由貿易協定(FTA)の交渉開始を宣言した。世界全体の国内総生産(GDP)の約5割、貿易総額の約3割 […]

EU首脳とオバマ米大統領は17日、主要国首脳会議(G8サミット)が開かれた北アイルランドのロックアーンで会談し、欧米間の自由貿易協定(FTA)の交渉開始を宣言した。世界全体の国内総生産(GDP)の約5割、貿易総額の約3割を占める巨大貿易圏の創設に向け、7月上旬にワシントンで第1回の交渉を開く。

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EU側からはファンロンパイ大統領、欧州委員会のバローゾ委員長、キャメロン英首相らがオバマ大統領との会合に臨み、包括的な貿易・投資協定の締結を目指す方針で一致した。バローゾ委員長は「双方に幅広い分野での合意を目指す明確な政治的意志がある」と強調。オバマ大統領は高いレベルの合意を得るため「小さな利害関係に捕らわれず、大局を見据える必要がある」と指摘した。また、キャンメロン首相は対米FTAについて「1世代に1度あるかないかのチャンス」と形容し、EUと米国にとってそれぞれ約1,540億ドル、約1,230億ドルの経済効果が見込めると述べた。

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EUと米国は今年2月にFTA交渉を開始することで基本合意し、それぞれ交渉入りに向けて必要な手続きを進めてきた。EU加盟国は今月14日の貿易相理事会で米国との交渉開始を承認したが、フランスの主張を受け入れ、当面は映画やテレビなど音響映像サービス分野を交渉から除外することを決めた。米国では映画産業が強い政治的影響力を持つため、同分野の除外措置が交渉の火種になるおそれがあるほか、米側も同様に例外分野を設けてくる可能性も指摘されている。双方は2014年末までの妥結を目指しているが、遺伝子組み換え(GM)作物に対する規制をはじめとする農業や食品安全などの分野でも利害対立は必至で、交渉は難航が予想される。

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