2013/7/1

総合 –EUウオッチャー

若年雇用対策に80億ユーロ、中小企業向け融資拡大も=EU首脳会議

この記事の要約

EU加盟国は6月27、28日に開いた首脳会議で、深刻化する若者の失業対策を強化するため、EU予算から総額80億ユーロを拠出することで合意した。今年2月に合意した若年雇用対策の予算規模を20億ユーロ拡大したうえで、早期の事 […]

EU加盟国は6月27、28日に開いた首脳会議で、深刻化する若者の失業対策を強化するため、EU予算から総額80億ユーロを拠出することで合意した。今年2月に合意した若年雇用対策の予算規模を20億ユーロ拡大したうえで、早期の事態打開を図るため、2014-15年の2年間に集中的に予算を投入する。

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雇用対策予算は若者の失業率が25%を超える国や地域に優先的に配分される。主として学校を卒業または退学して4カ月以上が経過しても、進学も就職もしていない若者を対象とした職業訓練や企業実習制度などの雇用促進プログラムを財政面で支援し、EU全体で若年失業者の減少を図る。

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EU27カ国の平均失業率は今年4月の時点で11%だが、25歳未満の失業率は倍以上の23.5%に上る。特にギリシャは60%、スペインは50%を超え、イタリアとポルトガルでも若者の失業率がそれぞれ40%を超えている。EUはこうした「失われた世代」と呼ばれる若年層の失業問題が社会不安の要因になる事態を警戒しており、緊縮財政が続くなか加盟国が結束して雇用対策を強化する。ただ、具体策の実行は各国政府に委ねられるため、エコノミストらからは実効性を疑問視する声も出ている。

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一方、首脳会議では雇用対策と関連して中小企業への支援策についても協議が行われ、事業所ベースで全体の99%を占める中小企業向け融資を円滑化する方針で一致した。南欧諸国を中心に、経営体力の低下した銀行による貸し渋りや融資金利の上乗せが広く行われている現状を踏まえ、欧州投資銀行(EIB)を通じて13-15年に中小企業向け融資を少なくとも40%拡大するとの目標を議長総括に盛り込んだ。財務相理事会、欧州委員会、EIBが連携して雇用創出につながる低利の融資計画を策定する。

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