2013/7/8

産業・貿易

ファンドマネジャー賞与規制案、欧州議会が小差で否決

この記事の要約

欧州議会は3日の本会議で、ファンドマネジャーに対する賞与(ボーナス)の支給額を年間給与と同額までに制限する規制案を小差で否決した。2014年1月に導入予定の銀行員を対象とした賞与規制をファンドマネジャーにも適用することで […]

欧州議会は3日の本会議で、ファンドマネジャーに対する賞与(ボーナス)の支給額を年間給与と同額までに制限する規制案を小差で否決した。2014年1月に導入予定の銀行員を対象とした賞与規制をファンドマネジャーにも適用することで、過度にリスクの高い投機を抑制して投資家保護を図る狙いがあったが、反対派からは賞与規制の導入によってファンドマネジャーに支払う固定給が上昇し、かえって逆効果になるといった懸念が指摘されていた。

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銀行員の賞与規制は国際的な銀行資本規制「バーゼルIII」を実施するためのEU法の一環として導入される。EU域内に本社や現地法人を置くすべての銀行に適用され、行員のボーナスは原則として年間給与と同額が上限となる。欧州議会の経済金融委員会は3月、銀行賞与規制を補完するものとして、ファンドマネジャーについても年間給与を超えるボーナスの支給を禁止する規制案を賛成多数で承認した。具体的には投資信託に関するEU共通ルールを定めた「譲渡可能な証券の集団投資事業(UCITS)に関する指令」に準拠する投資ファンドの運用担当者が対象で、ヘッジファンドやプライベートエクイティファンドなどは対象外。規制案には運用実績に応じた報酬の制限も盛り込まれている。

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本会議では7票差で規制案が否決された。反対派は採決に先立ち、賞与規制が導入されると優秀な人材を確保するためファンドマネジャーの固定給が上昇し、資産運用会社の収益を圧迫して結果的に年金基金などに悪影響が及ぶと指摘していた。経済金融委のボウルズ委員長は「UCITSは金融危機で損失を出していない恐らく唯一のリテール向け投資商品で、世界的にも重要なブランドだ。金融サービス分野全般にわたって一律の規制を適用することが適当だとは思わない」と発言。一方、草案をまとめたギーゴールド議員(ドイツ選出)は「投資家保護にとって暗黒の日だ。金融業界の文化を抜本的に変革する機会が阻止された」と述べている。

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