2013/7/15

産業・貿易

米とデリバティブ規制相互協力で合意、欧州銀への米ルール適用は回避

この記事の要約

欧州委員会と米商品先物取引委員会(CFTC)は11日、国境を越えたデリバティブ(金融派生商品)取引に関する規制で相互に協力することで合意した。EU・米当局間の合意により、およそ633兆ドルに上る国際デリバティブ市場の監視 […]

欧州委員会と米商品先物取引委員会(CFTC)は11日、国境を越えたデリバティブ(金融派生商品)取引に関する規制で相互に協力することで合意した。EU・米当局間の合意により、およそ633兆ドルに上る国際デリバティブ市場の監視体制が調和され、国際的な金融機関に対する二重規制や追加的な負担は回避される見通しとなった。

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問題となっていたのは、CFTCが金融規制改革法(ドッド・フランク法)の一環として導入を進めているデリバティブ規制。CFTCは米企業と取引を行う国外の市場参加者にも米国の規制を適用する方針を打ち出しており、欧州委やEU内の金融機関などが反発を強めていた。CFTCは欧州委との協議を通じ、EUの規制は米国の基準と「基本的に一致している」と認定。それぞれの規制を相互に尊重することで合意した。

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一方、 双方はデリバティブ取引の決済処理を担う清算機関(クリアリングハウス)に関しても、委託者が取引の担保として預託する証拠金の要件を調和させる方向で合意した。また、CFTCは欧州に拠点を置く清算機関(具体的にはドイツ取引所のユーレックスおよびロンドン証券取引所が過半数株を握るLCHクリアネット)に対し、今月12日に設定していた登録申請期限を年末まで延期した。

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CFTCのゲンスラー委員長は「世界のデリバティブ市場における透明性を確保し、リスクを軽減するうえで重要な一歩になる」と強調。欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は「協議は長期にわたり難しい場面もあったが、常に緊密で協力的な話し合いを持つことができた」と述べ、米側の柔軟な対応を評価した。

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