2013/8/5

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が金利据え置き、当面は様子見か

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は1日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.5%に据え置くことを決めた。金利据え置きは3カ月連続。ユーロ圏では景気回復の兆しがうかがえるものの、なお下振れ […]

欧州中央銀行(ECB)は1日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.5%に据え置くことを決めた。金利据え置きは3カ月連続。ユーロ圏では景気回復の兆しがうかがえるものの、なお下振れリスクがあることから、当面は金利を史上最低水準に据え置きながら様子を見守るとみられる。

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ユーロ圏では景況感の改善が続いている。失業率も市場最悪の水準にとどまっているものの、6月は失業者数が減少し、雇用改善の兆しも出ている。それでもギリシャなど債務危機に陥っている南欧諸国の景気悪化は深刻で、力強い回復は見込めない状況だ。

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ECBのドラギ総裁は先月の理事会後に、低金利政策を当面は継続することを言明。中期的な金利政策について、初めて明確な指針を示した。ドラギ総裁は今回の理事会後の記者会見で、「景気は緩やかに回復している」との認識を示しながらも、「理事会は長期間にわたって政策金利を現行水準に据え置くか、より低い水準とすることを見込んでいる」と発言。追加利下げを視野に入れながらも、当面は現行金利を維持する構えをみせた。

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ドラギ総裁は前月の記者会見で、「利下げの可能性について真剣な論議が行われた」と述べ、必要に応じて追加利下げに踏み切る用意があることを強調した。しかし、今回は利下げの可能性に関する記者団の質問を受け流し、ヒントを与えなかった。市場はこの態度の変化をECBが追加利下げに後ろ向きになったと受け止めている。

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一方、ドラギ総裁は、現在は30年間公表しないことになっている理事会の議事録の早期公表を検討していることを明らかにした。今秋にも提案をまとめる予定。中期的な金利政策の指針を示したのに続き、市場とのコミュニケーションを重視する方向に舵を切った格好となる。

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