2013/8/19

総合 –EUウオッチャー

ジブラルタル巡る対立、英がEUに監視団派遣要請

この記事の要約

イベリア半島南端に位置する英領ジブラルタルの領有をめぐり、英国とスペインが対立している問題で、キャメロン英首相は16日、スペインによる国境検問の強化を受けて欧州委員会のバローゾ委員長と電話会談し、EUの監視団を至急派遣し […]

イベリア半島南端に位置する英領ジブラルタルの領有をめぐり、英国とスペインが対立している問題で、キャメロン英首相は16日、スペインによる国境検問の強化を受けて欧州委員会のバローゾ委員長と電話会談し、EUの監視団を至急派遣して現地の状況を調査するよう要請した。欧州委は2国間対立への介入を極力避けたい考えだが、英国はスペインに対する法的措置も検討しており、加盟国同士がE U司法裁判所で争う事態に発展する可能性もある。

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英国とスペインの対立が表面化した直接のきっかけは、ジブラルタルの地元政府が7月末、コンクリートブロックを海底に沈めて漁礁を設置したこと。スペイン側は「もともと自国の領海だ」と主張し、ジブラルタルから麻薬が密輸されている疑いがあるとして、国境での検問を強化。国境では待ち時間が5時間を超える渋滞が慢性化している。

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英側は検問強化が「政治的動機に基づいたものだ」とスペイン政府の対応を強く批判。「域内での移動の自由を保障したEUルールに違反する」として、EU司法裁への提訴を検討している。これに対し、スペイン側は「国境監視は権利ではなく義務だ」などと主張し、今後も検問強化を続ける方針。さらに、スペインとジブラルタルの国境を通過する車両から、1台当たり50ユーロの通行料を徴収する対抗措置も検討するなど、英国との対決姿勢を強めている。

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EUは9月に監視団を現地に派遣することになっているが、英政府は即時派遣を求めている。バローゾ委員長はキャメロン首相に対し、欧州委として継続的に状況を監視していると説明したうえで、2国間で問題解決を目指すのが望ましいとの考えを示した。

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