2013/9/2

環境・通信・その他

欧州委がローミング料規制強化を断念か、事業者の猛反発で

この記事の要約

欧州委員会は域内の他の国で携帯端末を利用する際にかかるローミング料金を段階的に廃止する方向で検討を進めているが、通信事業者の強い反発を背景に、近くまとめる新たな規制案を大幅に修正したもようだ。ロイター通信によると、初期の […]

欧州委員会は域内の他の国で携帯端末を利用する際にかかるローミング料金を段階的に廃止する方向で検討を進めているが、通信事業者の強い反発を背景に、近くまとめる新たな規制案を大幅に修正したもようだ。ロイター通信によると、初期の草案には1年後にホールセール段階のローミング料金を最大90%引き下げる案が盛り込まれていたが、欧州委内部でも収益悪化による域内通信企業の競争力低下を懸念する声が広がったことを受け、最新案からは新たな料金規制が削除されたという。欧州委のクルース委員(デジタル政策担当)は、通信サービス分野における単一市場の創設に向けた取り組みの一環として、ローミング料金の撤廃を目指す方針を示しているが、こうした構想は後退を余儀なくされそうだ。

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EUでは携帯端末を域内の他の国で利用する際のローミング料金について、音声通話、データ通信とも上限を設けて厳しく規制している。ロイターが7月半ばに入手した欧州委の内部資料によると、クルース副委員長は事業者間のローミング料金について、2014年7月以降は音声通話の上限を現在の1分当たり10セントから3セント、データ通信は1メガバイト当たり15セントから1.5セントに引き下げる案を提示していた。しかし、同氏が先月末に仏オレンジ、テレコムイタリア、スペインのテレフォニカ、ドイツテレコムの経営トップと会談したところ、激しい反発にあい、規制案の見直しを余儀なくされた。ロイターが入手した最新の草案には新たな料金規制は盛り込まれていないという。

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クルース副委員長の報道官はロイターの取材に対し、「夏の間に通信分野で単一市場を創設するという目標の実現につながるいくつかの技術的改善があった」と述べるにとどめ、料金規制についての直接的な言及は避けた。なお、欧州委は9月10日に規制案を発表する見通しだ。

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