2013/9/2

環境・通信・その他

シンジェンタとバイエルが欧州委を提訴、ネオニコ系農薬の禁止めぐり

この記事の要約

化学大手のシンジェンタ(スイス)と独バイエルは8月27日、欧州委員会が両社のネオニコチノイド系農薬の使用禁止を決めたことを不当として、欧州司法裁判所に提訴したことを明らかにした。欧州委はミツバチの大量失踪を防ぐため同措置 […]

化学大手のシンジェンタ(スイス)と独バイエルは8月27日、欧州委員会が両社のネオニコチノイド系農薬の使用禁止を決めたことを不当として、欧州司法裁判所に提訴したことを明らかにした。欧州委はミツバチの大量失踪を防ぐため同措置に踏み切ったが、両社は科学的根拠に欠けるなどとして、欧州裁で争う方針だ。

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ネオニコチノイド系農薬は世界各地で深刻化しているミツバチが突然大量に失踪する「蜂群崩壊症候群」との関連性が指摘されている。欧州委は1月、欧州食品安全機関(EFSA)がまとめた調査報告書で、ネオニコチノイド系農薬がミツバチの中枢神経系に作用して麻痺や死をもたらすリスクがあると指摘したことを受けて、バイエルの農薬部門クロップサイエンスの「クロチアニジン」と「イミダクロプリド」、シンジェンタの「チアメトキサム」の3種の農薬について、域内での使用を禁止することを提案。12月から2年間にわたって使用を禁止することを正式決定した。さらに7月には、独BASFの「フィプロニル」も禁止することを決めた。同規制をめぐっては、農薬メーカー側がネオニコチノイド系農薬と蜂群崩壊症候群との因果関係が立証されてないと主張。加盟国の間でも意見が分かれ、3月中旬に実施された採決では27カ国のうち英、伊など8カ国が反対し、アイルランドなど4カ国が棄権に回ったが、欧州委が禁止を強行した経緯がある。

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シンジェンタは声明で、欧州委の決定について、EFSAの調査に不備があり、加盟国の一部も反対しているとして、「決定のプロセスに不備がある」と指摘。欧州委がチアメトキサムとミツバチ大量失踪を関連付けたのは間違いだという確証を得ていることから、提訴に踏み切ったとしている。

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