2013/9/9

環境・通信・その他

EU-ETSの13年排出上限枠が確定、無償排出枠は5.7%削減

この記事の要約

欧州委員会は5日、EU排出量取引制度(EU-ETS)における2013年の排出上限枠を域内全体で20億8,400万アローワンスとし、このうち加盟国に無償配分する排出枠を8億930万アローワンスに設定したと発表した。加盟国が […]

欧州委員会は5日、EU排出量取引制度(EU-ETS)における2013年の排出上限枠を域内全体で20億8,400万アローワンスとし、このうち加盟国に無償配分する排出枠を8億930万アローワンスに設定したと発表した。加盟国が欧州委に提出した計画案で要求していた無償排出枠は、最終的に5.7%削減された。

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排出権価格は今年4月に過去最低の1トン当たり2.46ユーロを記録したが、無償排出枠の割り当てが遅れたことでその後は緩やかな上昇傾向にあった。欧州委の決定に基づき、各国政府は対象施設に割り当てる無償排出枠の調整に入るが、最終的に排出枠の配分が行われるのは来年2月頃になる見通し。無償排出枠の削減幅はアナリスト予想のほぼ中央値だったが、実際の配分時期が大幅に遅れる見通しとなったことで、世界最大の二酸化炭素(CO2)排出権取引市場であるICEフューチャーズ・ヨーロッパ(ロンドン)では12月限EU排出権先物価格が一時、前日比9.9%増の5.02ユーロまで上昇し、5カ月ぶりの高値を記録した。

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EU-ETS第3期間(2013-20年)では従来の国内割当計画(NAP)が廃止され、20年に対象施設全体で二酸化炭素(CO2)排出量を05年比21%削減するという単一の排出上限枠が策定されている。13年の上限から毎年1.74%ずつ削減し、期間全体でおよそ2億5,000万トン上る排出量の削減が見込まれている。一方、13年からオークション方式が導入され、発電部門は初年から全量、その他の部門は初年が20%、20年は70%、27年までに全量をオークションによる割り当てに移行することになっている。ただし、無償排出枠の削減に伴う企業側の負担増を考慮して、排出量が特に大きく、国際競争力の低下が懸念される石油、ガス、鉄鋼、繊維など164の業種については13年以降もオークション方式ではなく、ベンチマーク方式に基づく排出枠の無償配分が行われることになっている。

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