2013/9/16

総合 –EUウオッチャー

英が欧州委の防衛産業活性化策に難色、防衛相が「統制政策」と批判

この記事の要約

欧州委員会が7月に発表した域内の防衛産業を活性化させるための行動計画をめぐり、英国のハモンド国防相は10日、自国企業の利益を損なうルールの導入に反対する立場を表明した。EU各国が財政難から国防関連予算を大幅に圧縮するなか […]

欧州委員会が7月に発表した域内の防衛産業を活性化させるための行動計画をめぐり、英国のハモンド国防相は10日、自国企業の利益を損なうルールの導入に反対する立場を表明した。EU各国が財政難から国防関連予算を大幅に圧縮するなか、欧州委は防衛産業の競争力強化に向けて市場統合を進めたい考えだが、同国防相はEU主導の取り組みを「統制政策」と評し、防衛装備品の調達や武器輸出に関するルールの統一などを盛り込んだ行動計画に難色を示している。

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欧州委によると、EU内では約40万人が防衛産業に従事しており、関連分野も含めた雇用規模はその3倍に上る。しかし、債務危機に伴う歳出削減などでEU加盟国の国防予算は過去10年間に約3割縮小しており、このままでは欧州の防衛産業が先細りするだけでなく、加盟国の安全保障にも支障が出かねないとの危機感が高まっている。欧州委はこうした現状を踏まえ、国ごとに分断された防衛市場を統合し、企業が国境を越えて活動しやすい単一市場に再編する必要があると判断。単一認証制度の導入、自国企業に対する優遇を是正し、公平で透明な調達を実現するためのルールづくり、中小企業に対する支援体制の強化などを盛り込んだ行動計画をまとめた。

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ハモンド国防相はロンドンで開催された世界最大級の軍事・安全保障関連の展示会「DSEi」で講演を行い、「EUからの提案には域内産業の競争力強化を目的としたものが多くみられるが、実際には域内の企業に統制政策を押しつけるということだ」と発言。EU主導の指揮系統に従うことはできないと述べ、英国以外にドイツも欧州委の行動計画に反対の立場をとっているとつけ加えた。

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ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2008-12年の武器輸出額上位5カ国は米国、ロシア、ドイツ、フランス、中国となっており、英国はSIPRIが調査を開始した1950年以降で初めてトップ5から転落している。

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