2013/9/16

産業・貿易

法人税優遇措置めぐり情報提供要請、アイルランドなど3カ国に

この記事の要約

欧州委員会は12日、一部の加盟国が導入している法人税の優遇措置などについて、関係国の政府に情報提供を求める書簡を送ったことを明らかにした。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が前日、企業誘致を目的とした優遇税制が、特定の […]

欧州委員会は12日、一部の加盟国が導入している法人税の優遇措置などについて、関係国の政府に情報提供を求める書簡を送ったことを明らかにした。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が前日、企業誘致を目的とした優遇税制が、特定の企業に対する資金支援を厳しく制限したEUの国家補助規定に違反する可能性があるとして、欧州委がアイルランド、オランダ、ルクセンブルクを対象に予備的調査に着手したと報じたのを受けたもの。域内では3カ国以外でも特定の企業に対して広く法人税の優遇措置が適用されているとみられ、グローバル企業による税金逃れに対して国際的な批判が高まるなか、欧州委の調査が広範囲に及ぶ可能性もある。

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欧州委のコロンバーニ報道官(競争政策担当)は「欧州委は税制ルールについて情報収集している段階だ。一部の加盟国に情報提供を要請する書簡を送った」と述べるにとどめ、対象国など詳細には触れなかった。ただ、欧米メディアによると、複数の関係者が少なくともアイルランド、オランダ、ルクセンブルクに書簡が送られたことを確認している。一方、3カ国の政府は、欧州委からは制度内容などについて「定期的」あるいは「頻繁」に照会があることを認めたうえで、今回の動きについては国家補助規定に絡めた正式な質問とは認識していないと強調している。

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EU内ではアップルやスターバックスなど、米国に本社を置く多国籍企業が収益に応じた税金を納めていないとの批判が高まっており、行き過ぎた租税回避への対抗策を模索する動きが出ている。米上院が5月にまとめた報告書によると、アイルランド政府はアップルに対し、通常は12.5%の法人税を2%以下に抑える優遇措置を適用しており、これが巨額の課税逃れにつながったと指摘している。一方、スターバックスはコーヒー製法に関する知的財産権や商標権の使用料をオランダの欧州本社に納めるなど、「特殊な会計手法」を用いて英国事業を赤字にみせかけ、長年にわたり課税を回避していたことが明るみに出た。さらにルクセンブルクは法人税率を29%に設定しているものの、多くの企業との間で会計上の処理について事前に取り決めを交わし、実際には極めて低い税率を適用している。

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