2013/9/16

欧州ビジネスウオッチ

フレゼニウス、病院運営で欧州最大手に

この記事の要約

医療サービス大手の独フレゼニウスは13日、独病院運営大手レーン・クリニクムが運営する病院の大半を譲り受けることで合意したと発表した。取引対象となる病院はレーンの売上高の3分の2を占めており、フレゼニウスの病院運営部門ヘリ […]

医療サービス大手の独フレゼニウスは13日、独病院運営大手レーン・クリニクムが運営する病院の大半を譲り受けることで合意したと発表した。取引対象となる病院はレーンの売上高の3分の2を占めており、フレゼニウスの病院運営部門ヘリオスは同分野で欧州最大手となる。

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フレゼニウスはレーンから総合病院43カ所、外来専門病院15カ所を譲り受ける。取引金額は30億7,000万ユーロで、債務は引き受けない。これらの病院の2013年の売上高は約20億ユーロ、営業利益は同2億5,000万ユーロに上る見通し。

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フレゼニウスは昨年、レーンに対して友好的な株式公開買い付け(TOB)を実施したが、巨大病院が成立することを懸念した同業アスクレピオスと医療機器メーカーのビー・ブラウンがレーン株を大量に取得して横やりを入れたためとん挫。フレゼニウスとレーンの経営陣はこれを受けて、今回の取引をひそかに練り上げてきた。

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同取引はレーン株主の承認を必要としてないものの、レーンは株主の理解を得るために売却益の約3分の2を特別配当に回す意向だ。1株当たり13.80ユーロを支給する。アスクレピオスとビー・ブラウンはそれぞれ5%を保有している。

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ヘリオスは取引が成立すると病院数が117カ所となり、全国にくまなく病院網を展開するドイツ初の医療機関となる。売上高は約55億ユーロに拡大する見通し。レーンからの病院取得は調達コストを中心にシナジー効果も見込める。レーンとは今後、密接に協力していく意向で、レーンの病院を新たに取得する可能性もあるとしている。

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レーンは今後、最先端医療と研究機能を併せ持つ病院に経営資源を絞り込む考えで、運営する病院はギーセン大学病院、マールブルク大学病院など10カ所に減少。売上規模はこれまでの30億ユーロから10億ユーロに縮小する。

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