フランス政府は10月末に開かれるEU首脳会議で、米グーグル、アマゾン、フェイスブックなどの大手インターネット企業を対象とする新たな規制と課税制度の導入を提案するための準備を進めている。欧米の主要メディアが19日、一斉に報じた。ペルラン中小企業・イノベーション・デジタル経済担当相は文書の内容を確認した上で、週内に英国、ドイツ、スペイン、ポーランドなどの担当閣僚とパリで非公式の会合を開き、フランスの提案について説明して支持を求める方針を示している。
\英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)などが入手した内部文書によると、フランスは米国などEU域外のネット企業が「デジタル産業の中枢を担い、利益の大部分を独占している」現状を問題視し、欧州にも世界を代表する大手ネット企業を誕生させなければならないと指摘。そのためには「インターネット市場で独占的な地位を築き、中小の事業者を市場から締め出している少数のプラットフォームに対し、EUとして積極的に介入する必要がある」とし、欧州委員会に規制案の策定を急ぐよう求めている。
\一方、仏政府はEU内に拠点を置く米国の大手ネット企業が誘致目的の優遇税制や複雑な会計手法を用いて法人税の支払いを回避している現状に触れ、新たに「デジタル企業を対象とする課税制度」を創設することを提案。欧州委に対し、対象企業が欧州市場であげた利益に対して確実に課税し、加盟国に税収を配分する仕組みを構築するための具体策をまとめるよう求めている。
\ペルラン経済相はFT紙とのインタビューで、域内の企業が米国の巨大ネット企業と公正な環境で競争できるよう、問題が生じた場合に当局が迅速に介入できる体制を整えるべきだと強調。さらにEU主導でベンチャーキャピタルファンドを創設し、グーグルやフェイスブックなどに対抗できる欧州企業の育成を資金面でサポートすることや、データ移転に関するルールを整備して個人情報保護を強化したうえで、複数のサービス間でユーザー情報を共有できるようにして利便性を高める必要があると指摘した。
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