2013/9/30

総合 –EUウオッチャー

非ユーロ圏の金融安全網も銀行に直接融資、欧州委が検討

この記事の要約

欧州委員会が経済危機に陥った非ユーロ圏諸国に緊急金融支援を行うため創設した「国際収支メカニズム」と呼ばれる融資制度について、対象国の銀行に直接融資をできるようにする制度改革を検討している。EUが域内の銀行を対象に来年実施 […]

欧州委員会が経済危機に陥った非ユーロ圏諸国に緊急金融支援を行うため創設した「国際収支メカニズム」と呼ばれる融資制度について、対象国の銀行に直接融資をできるようにする制度改革を検討している。EUが域内の銀行を対象に来年実施するストレステスト(健全性審査)で資本不足と判定された銀行への支援の枠組みを事前に用意し、金融不安が広がるのを防ぐのが狙いだ。

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国際収支メカニズムは、経済危機に陥った非ユーロ圏の加盟国を支援するための緊急融資枠。当初の融資枠は120億ユーロだったが、2009年に500億ユーロに増額された。ただ、これまでにハンガリー、ラトビア、ルーマニアに支援を行っており、残る融資枠は約400億ユーロとなっている。

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ユーロ圏の金融安全網で、債務危機に直面するユーロ参加国に緊急金融支援を行う総額5,000億ユーロの「欧州安定メカニズム(ESM)」は、現在は対象国の財政を支援するための融資に機能が限定されているが、ユーロ圏の銀行監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化することが決まったことに伴い、危機に陥ったユーロ圏の銀行にも直接融資できるようになる。

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欧州委員会は来年初めに実施される銀行ストレステストで資本不足と判定される銀行が続出する事態に備え、国際収支メカニズムにも同様の機能を与え、非ユーロ圏の銀行の金融安全網とすることを検討している。英国のように自力で国内銀行を支援できる余力のない中東欧諸国を支援対象として想定している。

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同制度の改革にはEU全加盟国による承認が必要。欧州委のオコナー報道官は26日、年内に合意を取り付け、来春から新制度に移行するという目標を示した。しかし、公的資金を銀行救済に注ぎ込むことに消極的な英国、ドイツなどの反対が予想されるほか、対象国が支援をあてにして金融システムの健全化に向けた取り組みを怠るといった声も出ており、曲折が予想される。

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