2013/9/30

総合 –EUウオッチャー

長期資金供給オペ追加実施も、短期金利の上昇抑制で=ECB総裁

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は23日、欧州議会の経済金融委員会の公聴会で、ユーロ圏の短期金利が上昇するのを抑えるため、長期資金供給オペ(LTRO)を追加実施する用意があることを明らかにした。\ ECBは信用不安で資 […]

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は23日、欧州議会の経済金融委員会の公聴会で、ユーロ圏の短期金利が上昇するのを抑えるため、長期資金供給オペ(LTRO)を追加実施する用意があることを明らかにした。

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ECBは信用不安で資金繰りが悪化しているユーロ圏の銀行を支えるため、過去最長となる3年物の資金を政策金利と同水準の低金利で無制限で供給するLTROを2011年12月と12年2月に実施。総額1兆ユーロ余りの長期資金を市場に供給した。これによって金融市場の混乱が終息に向かい、信用不安が最悪期を脱する大きなきっかけとなった。

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ここにきてドラギ総裁が追加実施に言及したのは、銀行がLTROで調達した資金の前倒し返済が進み、一時は8,000億ユーロに上った金融市場の余剰流動性が約2,250億ユーロまで低下し、市場の短期金利が政策金利を上回る分岐点とECBがみなしている2,000億ユーロに近づいているいためだ。

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ドラギ総裁は、前倒し返済を金融市場の「正常化の兆しだ」としながらも、「余剰流動性の低下で市場金利押し上げの圧力が強まる」として、流動性の低下が貸し渋りを招き、ようやく景気後退を脱したユーロ圏経済の本格的な回復の足かせとなる懸念を表明。「市場の短期金利を低めに維持するため、必要に応じて追加のLTROを含むあらゆる手段を講じる用意がある」と述べた。また、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利について、当面は超低金利政策を維持することも改めて明言した。

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