2013/9/30

総合 –EUウオッチャー

伊レッタ政権が崩壊の危機、自由国民党が閣僚引き揚げ

この記事の要約

イタリアの連立政権に加わる中道右派の自由国民党は28日、同党所属の閣僚5人全員が辞任すると発表した。同党を率いるベルルスコーニ元首相の議員資格剥奪と付加価値税(VAT)の引き上げをめぐる第1党・民主党との対立が背景にある […]

イタリアの連立政権に加わる中道右派の自由国民党は28日、同党所属の閣僚5人全員が辞任すると発表した。同党を率いるベルルスコーニ元首相の議員資格剥奪と付加価値税(VAT)の引き上げをめぐる第1党・民主党との対立が背景にある。自由国民党は閣僚引き揚げに続いて連立離脱も辞さない構えを示しており、レッタ政権は崩壊の危機に直面している。

\

ベルルスコーニ元首相は8月に脱税事件で実刑が確定し、10月4日に上院の委員会が議員資格剥奪の是非を審理することになっている。自由国民党はレッタ首相率いる民主党に資格剥奪に反対するよう働きかけていたが、民主党が応じなかったことから、対立が深まっていた。

\

閣僚引き揚げの直接の引き金となったのは、自由国民党が反対しているVAT税率引き上げをめぐる問題。27日の閣議で凍結について話し合う予定だったが、元首相の資格問題に協議が終始し、物別れに終わったことから、予定通り10月1日から税率が21%から22%に引き上げられることになった。これに自由国民党が猛反発し、ベルルスコーニ元首相の指示で5閣僚が辞意を表明した。

\

自由国民党側は、上院委員会で元首相の資格剥奪が決まれば、連立を離脱する構えを示している。

\

これに対して、レッタ首相は声明で、VAT増税に伴う閣僚引き揚げは表向きの理由で、ベルルスコーニ元首相は自身の議員資格を守るため圧力をかけていると厳しく批判しており、両党の決裂は決定的な情勢だ。

\

民主党は2月に実施された総選挙で、下院では過半数の議席を確保したが、上院では過半数割れとなり、2カ月にわたる政治空白を経て、財政緊縮・構造改革で立場の違う自由国民党との連立政権が4月に発足した。自由国民党が連理を離脱するとレッタ首相は政権運営に行き詰まる。レッタ首相は近日中に上下両院で信任投票を求める方針だが、不信任となれば大統領に辞表を提出しなければならない。信任を取り付けた場合も、他の勢力との連立は難しい状況で、解散・総選挙に打って出る可能性がある。いずれにしても、自由国民党の離脱が決まると、再び政局が混迷し、財政再建、景気対策が暗礁に乗り上げ、最向きが再燃するのは避けられない情勢だ。

\