2013/10/7

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が金利据え置き、総裁は長期資金供給を示唆

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は2日にパリで開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を過去最低水準となっている現行の年0.5%に据え置くことを決めた。金利据え置きは5カ月連続。一方、ドラギ総裁は市場金利 […]

欧州中央銀行(ECB)は2日にパリで開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を過去最低水準となっている現行の年0.5%に据え置くことを決めた。金利据え置きは5カ月連続。一方、ドラギ総裁は市場金利の上昇への警戒感を示し、長期資金供給オペ(LTRO)の追加実施を含む「あらゆる措置」を講じる用意があると言明した。

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ユーロ圏は4-6月期にマイナス成長を脱し、雇用にも改善の兆しが出ている。しかし、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、米国の財政をめぐる混乱や、量的緩和の縮小が及ぼす影響など不安材料があることに触れ、ユーロ圏経済は「なお脆弱」で、「下振れリスクがある」とコメント。7月以降の記者会見で用いている「理事会は長期間にわたって政策金利を現行水準に据え置くか、より低い水準とすることを見込んでいる」という文言を繰り返し、必要に応じて追加利下げに踏み切る用意があることを確認した。

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ECBが特に懸念しているのが、米国の量的緩和縮小が先送りされる場合の市場金利の上昇。ドラギ総裁は先月、金利上昇が景気回復の足かせとなるのを防ぐため、3年物の長期資金を政策金利と同水準の低金利で無制限で供給するLTROの追加実施を視野に入れていることを明らかにしていた。総裁は今回の記者会見でも「必要に応じて、新たなLTROを含むあらゆる措置を講じる用意がある」と述べた。

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ECBはユーロ圏が信用不安に揺れていた2011年12月と12年2月にLTROを実施し、総額1兆ユーロ余りの長期資金を市場に供給。これが金融市場の混乱終息に大きく寄与し、信用不安の改善につながった。市場では追加のLTRO実施のタイミングに注目が集まっており、一部では年末までに実施するとの見方が出ている。

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