2013/10/14

総合 –EUウオッチャー

「EU離脱なら投資計画見直しが必要」、日立社長が英の残留要望

この記事の要約

日立製作所の中西宏明社長は11日、東京で英国人記者団に対して、仮に英国がEUから離脱した場合、同社は英国での原子力発電および鉄道事業への投資計画を「見直さざるを得なくなる」と述べ、日本企業は英国がEU内に留まることを希望 […]

日立製作所の中西宏明社長は11日、東京で英国人記者団に対して、仮に英国がEUから離脱した場合、同社は英国での原子力発電および鉄道事業への投資計画を「見直さざるを得なくなる」と述べ、日本企業は英国がEU内に留まることを希望していると強調した。同社長はまた、5月にキャメロン首相を表敬訪問した際、英国のEU残留を「強く要請」したことも明らかにした。

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日立は昨年10月、原発事業会社ホライズン・ニュークリア・パワーを約7億ポンドで買収し、2020代前半までに英国内の2カ所で4~6基の原子炉を建設すると発表した。中西社長はその際の会見で、「日立は今後100年間、英国にかかわっていく」と述べ、長期的な投資を約束。キャメロン首相も「英国が長期にわたる巨額の投資先としてふさわしいことが証明された」と応じた。一方、日立は今年7月、英国の鉄道史上で最大規模のプロジェクト「都市間高速鉄道車両置き換え計画(IEP)」に関連して、新たに車両270両を追加受注した。同社は昨年7月に車両596両の製造と27年間半の保守契約を獲得しており、今回の追加受注で総事業費は当初の45億ポンドから58億ポンドに拡大した。

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英フィナンシャル・タイムズなどによると、中西社長は英国内で高まっているEU離脱論に関する質問を受け、外国企業にとって英国はドイツなど他のEU諸国よりビジネス環境が整っていると指摘したうえで、「英国がEUから離脱することはないとみているが、仮にそうなった場合はどのように鉄道事業を運営するか考え直さなければならない」と説明。原発事業についても同様だとつけ加えた。

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英国に進出している日本企業は約1,300社に上り、現地でおよそ13万人の雇用を生み出している。英国がEUから離脱した場合、英国と大陸欧州の異なる技術基準や規制に対応しなければならず、日本企業に不利になるとの懸念が広がっている。こうしたなかで日本政府は7月、英国がEUから離脱すれば大規模な雇用喪失につながると警告し、EU残留を求める覚書を英外務省に提出。現地の一部メディアがこれを「異常な内政干渉」と報じた経緯がある。

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