2013/10/14

総合 –EUウオッチャー

ギリシャが来年に景気後退脱却へ、基礎財政収支も黒字に

この記事の要約

ギリシャ政府は7日発表した2014年度予算案の原案で、来年の国内総生産(GDP)は前年比0.6%増となり、7年ぶりにプラス成長に復帰するとの見通しを示した。10年間にわたって赤字が続いていたプライマリー・バランス(基礎的 […]

ギリシャ政府は7日発表した2014年度予算案の原案で、来年の国内総生産(GDP)は前年比0.6%増となり、7年ぶりにプラス成長に復帰するとの見通しを示した。10年間にわたって赤字が続いていたプライマリー・バランス(基礎的財政収支)もGDP比1.6%の黒字に転じると予想しており、債務危機と景気低迷が最悪期を脱したことをうかがわせている。

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信用不安で深刻な債務危機に陥ったギリシャは、EUと国際通貨基金(IMF)から2010年に1,100億ユーロ、12年に1,300億ユーロの緊急金融支援を取り付け、国債のデフォルト(債務不履行)をなんとか回避しながら財政赤字削減に取り組んできた。しかし、増税をはじめとする厳しい緊縮策が景気、雇用を大きく圧迫し、税収が減って財政再建が進まないという悪循環に陥っていた。

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政府は来年について、投資、観光業、輸出の復調によって、GDP成長率は13年のマイナス4%から0.6%のプラスになると予想している。スタイコウラス副財務相は「苦しい時期にギリシャ国民が払った犠牲が実を結びつつあり、14年に危機を脱却することができる」と述べた。

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ギリシャは、EUとIMFによる総額2,400億ユーロの金融支援が2014年末で終了するが、まだ自力で資金を調達できる状況になく、向こう2年間で109億ユーロの資金不足に陥るとの試算をIMFが示している。このため第3次支援実施の観測も浮上している。それでも、悪循環を断ち切って景気が回復に向かうと、財政再建に弾みがつく。特にプライマリー・バランスの黒字化は、EUとIMFが融資返済期限の延長や利払い軽減の条件としているもので、これによって債務負担が減る可能性がある。

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