2013/10/14

環境・通信・その他

欧州議会がたばこ規制改正案を可決、電子たばこ規制見送り

この記事の要約

欧州議会は8日の本会議で、「たばこ製品の製造・広告・販売に関する指令」の改正案を賛成多数で可決した。新規制は若者の喫煙防止を最大の目的としたもので、香り付きたばこの販売禁止などを柱とする内容。一方、規制強化を回避したい業 […]

欧州議会は8日の本会議で、「たばこ製品の製造・広告・販売に関する指令」の改正案を賛成多数で可決した。新規制は若者の喫煙防止を最大の目的としたもので、香り付きたばこの販売禁止などを柱とする内容。一方、規制強化を回避したい業界側の強い働きかけで、電子たばこを医薬品として厳格に規制する案などは見送られ、全体としては欧州委員会の提案と比べて緩やかな内容に修正された。規制案は今後、欧州議会とEU加盟国の間で審議される。

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2001年に制定された現行指令は、たばこ会社に対してパッケージの表側30%、裏側40%に「喫煙は死を招く」といった警告の表示を義務付けるほか、消費者に他の製品より害が少ないかのような印象を与える「ライト」「マイルド」「低タール」といった用語の使用を禁止している。欧州委は警告の大きさをパッケージの両面でそれぞれ75%に拡大することを提案していたが、修正案では65%に削減された。また、内容量が20本未満のパッケージ販売は禁止されるが、細巻きたばこの販売禁止は見送られた。

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一方、新規制ではたばこにメントール、バニラ、チョコレートなどの香りを付ける材料や、依存性や毒性を高める材料の使用が禁止される。これは喫煙者の約7割が18歳未満で喫煙を開始している実態を踏まえ、たばこ本来の味や香りを残すことで若者の喫煙開始を抑制するのが狙い。砂糖などの添加物を使用する際は欧州委に申請して認可を得る必要がある。

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欧州委は電子たばこに医薬品と同じ規制を適用し、薬局以外での販売を禁止することを提案していたが、修正案では治療または予防の効能をうたう場合を除いて通常のたばこ製品として扱い、薬局以外での販売が認められる。ただし、ニコチンの含有量は30ミリグラム以下でなければならず、他のたばこ製品と同じ広告規制が適用される。

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欧州委によると、EUではこれまでに導入された一連の規制の効果で、喫煙率は02年の40%(EU15カ国)から昨年は28%(EU27カ国)に低下した。しかし、年間に約70万人が喫煙に起因する病気で死亡しており、欧州委はEU全体で喫煙による健康被害を抑制する取り組みを強化する必要を訴えている。

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